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バプーオン遺跡 [Baphuon] 地上と天界をつなぐ約200mの空中参道

バプーオンは、アンコール・トムの中にある山岳型寺院で、11世紀中頃に創建されました。造られた当時はシヴァ神に捧げられたヒンドゥー教寺院でしたが、14世紀以降には仏教寺院に改修されています。

見どころは「空中参道」と呼ばれる長さ200mの石橋。東塔門から寺院に向かってまっすぐ伸びる参道は、虹の架け橋とも呼ばれ、地上と天界を結ぶ役割を果たしていました。

CN編集部

バイヨン寺院のすぐ近くにある遺跡です。空中参道はとても見応えがあるので、こちらはお見逃しなく!

バプーオンってどんな遺跡?

バプーオン遺跡は、11世紀中頃にアンコール王朝14代目の王であるウダヤディティヤヴァルマン2世によって建立されました。

シヴァ神に捧げられたヒンドゥー教寺院で、3層からなるピラミッド型寺院です。

シヴァ神に捧げられたピラミッド型寺院

シヴァ神を中心とした物語の浮き彫りや、葉状紋様の彫りが深く、「バプーオン様式」の原型と言われています。

旧王宮の南側に隣接し、東西120m・南北100mの砂岩周壁に囲まれています。現在、頂上までの高さは約34mですが、かつては約50mの高さの塔があったそうです。その様子は、13世紀末にカンボジアを訪れた漢人・周達観の記した真臘風土記しんろうふどきにも綴られています。

ところが、バプーオンが建設されていた土地は地盤が弱く、20世紀には大部分が崩れていたようです。2011年に考古学者たちによる寺院修復が終了し、一般の入場者も見学できるようになりました。

Baphuon

バプーオンの「隠し子」伝説

「バプーオン」という名前には、「隠し子」という意味があります。かつてアンコール王朝とシャム(現在のタイ)の間で争いが勃発した際に、王子をこの寺院に隠したことから名付けられました。

第二回廊の南側の塔門には、母が我が子を隠そうとする様子の浮き彫りが残っています。真偽の程は定かではありませんが、この「隠し子」伝説にちなんだものなのかもしれません。一説にはクリシュナが里親に引き渡される場面を描いたレリーフであるとも言われています。

「隠し子」伝説とは?

かつてカンボジアの王シャムの王は兄弟でした。あるとき、シャムの王は自分の息子をカンボジアに預けたいと言い、カンボジアの王はその申し出を受けることにしました。

ところが、カンボジアの臣下たちは「シャムの王子たちが国の乗っ取りを企てているのではないか」と疑い、シャムの王子の受け入れに反対しました。そして、カンボジアの王はシャムの王子を殺してしまったのです。

息子を殺され激怒したシャムの王は、カンボジアに大軍を向かわせます。このとき、カンボジアの王妃は、自分の息子が同じような報復を受けることを恐れ、寺院に我が子を匿うことにしました。これが「バプーオン(隠し子)」と呼ばれるようになった由来です。

Baphuon
バプーオン基本情報
  • 時代:11世紀中頃(1060年頃)
  • 建設した王:ウダヤディティヤヴァルマン2世
    *後にジャヤヴァルマン8世が改修
  • 宗教:ヒンドゥー教(シヴァ派)
    *15世紀には仏教寺院に改宗
  • 建築様式:バプーオン様式
  • 寺院形態:ピラミッド型
  • 見学時間の目安:約45分

バプーオン遺跡へのアクセス

バプーオンは、アンコール・トムと呼ばれる都城の中にある遺跡の一つです。巨大尊顔で有名なバイヨン寺院の北側に位置します。

シェムリアップの中心部からバプーオン遺跡までは、車またはトゥクトゥクで20〜25分ほどです。

アンコール・トム内には、下記以外にも小さな遺跡がたくさんあるので、自由に見学したい場合には自転車やバイクを借りるのも良いかもしれません(*道路状況にご注意ください)

アンコール・トムの主な遺跡

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Angkor Thom
アンコール・トムの主な見どころ

バプーオン遺跡の見どころ

  • 200m続く「空中参道」
  • 後世の仏教徒が造った寝釈迦像
  • バイヨン寺院よりも高かった中央祠堂
  • ヒンドゥー教の神話を描いたレリーフ

200m続く「空中参道」

バプーオン遺跡の最大の特徴は、内側の塔門に向かって約200m続く「空中参道」です。

3列に並んだ円柱の橋脚が参道を支えています。地面からの高さは1mほどです。似たような参道を持つ遺跡は他にもありますが、これほどの規模はバプーオンのみ。

CN編集部

まさにバプーオン寺院ならではの美しさ! まさに必見ポイントです

Baphuon

雨季になって水が張ると、さらに幻想的な光景になります。「空中参道」という名にふさわしく、まるで地面から浮いているようです。

Baphuon

ぜひ遺跡の最頂部からも、まっすぐと続く参道の姿を確認してみてください。遺跡の荘厳さを演出するための壮大な仕掛けとなっています。

Baphuon

後世の仏教徒が造った寝釈迦像

バプーオンは元々ヒンドゥー寺院として建てられましたが、15世紀後半に仏教寺院に改められました。アンコール王朝の末期または滅亡後の時期だと考えられます。

そのときに追加されたのが、長さ70m、高さ9mにも及ぶ巨大涅槃仏像!これは第2層の西側(入り口と反対側)にあります。

Baphuon
CN編集部

遠くから見ると、左側を頭にして仏様が横になっている姿が確認できます

一般の見学者は立ち入ることができませんが、この寝釈迦像の上には小さな回廊が残っています。また、第2層の西門には、叙事詩『ラーマーヤナ』のレリーフも見られます。

Baphuon

バイヨン寺院よりも高かった中央祠堂

現在、バプーオンは高さ約34mの寺院ですが、かつては約50mの高さの塔があったと考えられています。

13世紀にカンボジアを訪れた周達観の『真臘風土記』には、「銅の塔(=バプーオン)は、金の塔(=バイヨン)よりも高かった」という内容が残されています。

Baphuon

しかし、残念ながらバプーオンは建築上のいくつかの問題により、多くの部分が崩落してしまいました。ウダヤディティヤヴァルマン2世の先進的な試みを実現するには、時代的・技術的に難しい部分があったのかもしれません。

Baphuon

ヒンドゥー教の神話を描いたレリーフ

バプーオンにはあまり多くの浮き彫りは残っていませんが、第2層に設置されている4つの塔門付近には、いくつか貴重なレリーフが残っています

ヒンドゥー教にまつわる色々なエピソードが描かれているので、ぜひチェックしてみてくださいね!

Baphuon
浮き彫りに描かれているもの
  • 南側の塔門
    『ラーマーヤナ』の場面やヴィシュヌ神、クリシュナの物語など
  • 西側の塔門
    『ラーマーヤナ』のランカ島の戦いの様子や、ブラフマー神など
  • 北側の塔門
    『ラーマーヤナ』の中でハヌマーンがシータ姫にラーマ王子の指輪を届ける場面や、魔王ラーヴァナなど
  • 東側の塔門
    『マハーバーラタ』でビーシュマが無数の矢に射抜かれた場面や、アルジュナとシヴァが猪を狩る場面など
Baphuon

見学上の注意点

バプーオン遺跡は、3層からなるピラミッド型寺院です。

現在は観光客用に木製の補助階段が設置されています。手すりはありますが、傾斜が急なので足元に注意が必要です! 安全かつ動きやすい服装で向かいましょう。

バプーオン遺跡は、安全上の理由から12歳未満の子どもの入場が制限されています。空中参道のエリアまでは12歳未満でも見学可能です。

Baphuon
第1層から見た階段(南側)

バプーオン寺院の場合、上り用と下り用の階段がそれぞれ決められています

南側(入り口から見て左手側)が上り用なので、まずはそちらに向かいましょう。東西の階段は通行不可になっています。最頂部まで上ったら、今度は北側の階段から下りてください。

第1層の最終的な出口は入り口と反対側(西側)にあります。ピミアナカスを続けて見学する場合には、そのまま裏口にある案内板に従って進みましょう。象のテラスに向かうなら、バプーオンの外側を周って、入り口まで戻ってくる必要があります。

CN編集部

スケジュールが詰まっている場合には、「バプーオン」の空中参道だけ見学して引き返し、「象のテラス」に進むルートもあります

Baphuon

バプーオンはアンコール・ワットの第三回廊と同様に、服装制限があります。肩や膝が出た服装は入場を拒否されるので気をつけましょう

バプーオン遺跡|ポイントまとめ

今回は、アンコール・トムの見どころの1つである「バプーオン遺跡」についてご紹介しました!

興味深い逸話やレリーフなどが残っている場所なので、ぜひ現地ガイドさんの詳しい解説付きで訪れてみてください。きっとリアルタイムならではの発見があると思います。

バプーオン遺跡ポイント
  • 約200m続く「空中参道」
  • 名前の由来となった「隠し子」伝説
  • 後世に造られた巨大な涅槃仏像
Baphuon