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ピミアナカス [Phimeanakas] 空中の宮殿と蛇神ナーギーの伝説

ピミアナカス寺院は、アンコール・トムの中にある王宮跡地に建てられた寺院です。正式には「ヴィミアン・アカーハ」と言い「天空の宮殿」という意味を持ちます。ここでは毎晩王族のための儀式が行われていました。

アンコール・トムの建造に着手したスールヤヴァルマン1世が建築しました。王宮自体は消失してしまいましたが、当時ピミアナカスの西側に王宮があったと考えられています。

CN編集部

とてもコンパクトな遺跡ですが、ぜひすぐ隣の「女池・男池」と呼ばれる沐浴場とセットで観光してみてください!

バイヨン寺院とセットでいくとイイよ!

ピミアナカスってどんな遺跡?

まずはピミアナカスがどのような遺跡なのか、基本情報を確認してみましょう。

アンコール・トムの王宮内に建てられた寺院

ピミアナカスは王宮の敷地内に建てられた寺院で、ここでは王族のための儀式が行われていたと考えられています。寺院の中に立ち入ることができるのは、基本的に王のみだったそうです。

ピミアナカスは東西35m、南北28mの3層構造で、須弥山(メール山)を象徴していると考えられています。1層目は水面、2層目は地面、3層目は天空を表現しているようです。

残念ながら、現在は頂上に登ることができませんが、最上段は回廊に囲まれています。中央の塔堂はかつて黄金に輝いていたと記録が残っています。

ピミアナカス基本情報
  • 時代:11世紀初頭
  • 宗教:ヒンドゥー教
  • 建設した王:スールヤヴァルマン1世
  • 寺院形態:ピラミッド型
  • 建築様式:クリアン様式
  • 見学時間の目安:15分〜30分程度
    *現在は階段が封鎖されているので、外から眺めるだけになります
    *すぐ隣にある女池・男池とセットで30分ほどです

11世紀の初頭にスールヤヴァルマン1世が造営したとされていますが、どうやらピミアナカスの原型自体は8世紀末にすでに存在していたようです。

その後、10世紀にラージェンドラヴァルマン2世やハルシャヴァルマン1世もピミアナカスの建設に携わったと言われています。諸説ありますが、古くから存在していた寺院のようですね。

どうして王宮の建物は残っていないの?

当時、石造の建造物は神々に捧げるものであり、人間が住む王宮は木造だったと言われています。アユタヤ軍の侵攻によりアンコール・トムが陥落した際、当時の王宮は消失してしまいました。どうやら王宮はピミアナカスの付近に建てられていたようですが、正確な場所はわかっていません。

蛇神ナーギーの伝説

ピミアナカス寺院には、蛇神ナーギーの伝説が残っています。「ナーギー」とは、蛇の神様である「ナーガ」の女性版の呼称です。

13世紀にカンボジアを訪れた中国人の周達觀しゅうたつかんが記した『真臘しんろう風土記』に言い伝えが残っています。

ピミアナカスの伝説

ピミアナカスの最上部には、美しい女性の姿をした蛇神(ナーギー)が現れると考えられていました。王は毎晩ピミアナカスの頂上に登って、この女性と一晩ともに過ごさなければなりませんでした。寝所に立ち入ることができたのは王のみで、王妃ですら許されていませんでした。

この儀式が一晩でも欠けると、王に恐ろしい不幸がもたらされると言われていたそうです。また、ナーギーが姿を表さなければ、王の余命は残りわずかであると判断されました。

ピミアナカスで発見された石碑

1916年にピミアナカスの東側で1つの石碑が発見されました。ジャヤヴァルマン7世の2人目の妻であったインドラデヴィ王妃によるものだと言われています。

この碑文により、ジャヤヴァルマン7世の2人の妻の存在が知られ、またジャヤヴァルマン7世がいかにして即位を果たしたのかが明らかになりました。アンコール王朝の歴史を紐解く上で、重要な手掛かりとなっています。

ピミアナカス遺跡の場所と行き方

ピミアナカスは、アンコール・トムの中心であるバイヨン寺院の北側に位置しています。かつての王宮の敷地内にあり、バプーオンから石造の塔門(ゴープラム)を通って向かいます。

CN編集部

バイヨン寺院を観光した後に、バプーオンを経由してピミアナカスに向かうパターンが一般的です

バプーオン寺院の裏側から案内板が出ているので、それに従って進んでいくと、王宮の周壁が見えてきます。それを抜けてまっすぐ進むとピミアナカスです。

ピミアナカス遺跡の見どころ

現在は遺跡の頂上へのアクセスが禁止されているので、外から鑑賞しましょう。

すぐ横にある男池・女池と呼ばれる沐浴場も忘れずにチェックしましょう。

王のみが許された宮殿への階段

「天空の宮殿」という名にふさわしく、天に向かってそびえ立つシルエットが特徴的。急峻な階段は、選ばれし者以外の訪問を拒むかのようです。

真下から上を見上げるだけでも、その険しさが伝わってきます! まさに神との儀式を執り行うのにふさわしい場所と言えますね。

残念ながら、現在は頂上へのアクセスが禁止されているので、外から鑑賞するのみとなっています。ぜひ下から見上げて、その迫力を体感してみてくださいね! 昔の王様はどうやってこの急な階段を登っていたのか、不思議です……

宮殿を守護するシンハ像

ピミアナカスの各基壇の四方と入り口には、寺院を守護する聖獣たちが鎮座しています。損傷が激しく、現存している部分は限られていますが、その名残を確認することが可能です。

CN編集部

苔むす姿も情緒が感じられて素敵ですね! ピミアナカスの伝説と相まって、神秘的な雰囲気を感じさせられます。

男池・女池と呼ばれた沐浴場

ピミアナカス寺院のすぐ北側には、「女池」「男池」と呼ばれる沐浴池があります。大きい方の「女池」の基壇部分には見事な浮き彫りが残っているので、ぜひ忘れずにチェックしてください!

女池の南西角

ここにも水を司る神であるナーガが描かれています。農業経済を基盤とするアンコール王朝において、水の管理は重要な課題でした。そうした背景から、水の神様でもあるナーガは大変尊い存在として崇められていたと考えられています。

女池の南東角

女池の水辺でサソリに遭遇しました! サンダル等で訪れる場合には、足元に十分注意しましょう。珍しくても近づかないことが大切です。

女池の東側にあるのが男池と呼ばれる沐浴池です。どのような使い分けをしていたのかは不明ですが、こちらは特に装飾もなく、女池よりもかなり小さめです。

このすぐ脇にある塔門(ゴープラム)を抜けると、象のテラスやライ王のテラスにつながっていきます。

ピミアナカス遺跡のポイントまとめ

アンコール・トム内の遺跡の一つである「ピミアナカス遺跡」についてご紹介しました!

規模としては小さな寺院ですが、興味深い伝説やエピソードの残っているおもしろい遺跡でもあります。ぜひ当時の様子を思い浮かべながら、外側から鑑賞してみてください!

ピミアナカスの隣にある「女池(The Royal Pond)」は見落としがちな場所ですが、基壇部分に刻まれた浮き彫りは必見! ぜひピミアナカスとセットで立ち寄ってみてください。

ピミアナカスと王宮跡のポイント
  • 王のみが許された宮殿への階段
  • 宮殿を守護するシンハ像
  • 女池に刻まれたナーガの浮き彫り

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