トンレサップ湖は「カンボジアの心臓」とも呼ばれる巨大な淡水湖!
その大きさは東南アジア最大であり、今も豊かな自然が息づいている場所です。豊富な水資源と漁業は古くから人々の生活を支えてきました。今でも多くの人々がトンレサップ湖で暮らしており、水上生活者の規模は世界最大です。
そうしたトンレサップ湖の特徴や魅力に触れられるボートクルーズのツアーが大人気! シェムリアップの街から半日ほどで観光することができます。
トンレサップ湖ってどんな場所?
トンレサップ湖は、東南アジア最大の淡水湖です! シェムリアップ市内からも日帰り観光が十分できる距離なので、観光地としても人気を集めています。
クメール語では「ទន្លេសាប(トンレサップ)」と呼ばれ、トンレーは「川」を意味しています。
どれぐらいの大きさなのかイメージが難しいかもしれませんが、乾季の縮小している時期でも琵琶湖の4倍ほどの大きさがあります!
季節によって大きさが変化
カンボジアには乾季と雨季の2つの季節があり、トンレサップ湖は季節によって大きさが変化します。まさにトンレサップ湖の特徴とも言える点ですね!
雨があまり降らない乾季では、水深が1mほどしか無く、その面積は約2500平方kmほどです。
一方で、雨季になり水量が増すと、水深は9mにも到達し、大きさは乾季の約6倍にまで拡大します! なんとこれは岩手県の面積に匹敵する広さです。
トンレサップ湖が「伸縮する湖」と呼ばれる理由に納得です!
このように年間を通して変化する水量や水深に対応するために、周辺の人々は高床式の家や湖上に浮かぶ船のような家に住んでいます。まさにその土地に適応した暮らしの知恵ですね。
トンレサップ湖の豊かな生態系
トンレサップ湖の特徴は上記のような地理的なものだけでなく、豊かな生態系にもあります。
体重100kgを上回るメコンオオナマズをはじめとして、600種類以上の淡水魚が生息していると言われています。こうした豊かな資源はシェムリアップだけに限らず、カンボジア全土で暮らす人々にとって大切な自然の恵みです。
バイヨン寺院の壁画にも、トンレサップ湖の当時の様子が描かれています。たくさんの水中生物が描かれており、当時から豊かな湖であったことが推測されますね。
トンレサップ湖で収穫される魚などは、カンボジアの人々のタンパク質摂取量の60%を占めていると言われています。
また、乾季になって水が引くと、その辺りの土壌には養分がたくさん含まれており、農作に適した土地となります。雨季には漁業、それ以外では稲作などで人々の暮らしを支えているのですね。
ただし、近年では生態系の乱れや環境破壊も一部では懸念されています。古くから続いたトンレサップ湖での営みや美しく豊かな自然を後世にも残していきたいですね。
トンレサップ湖までのアクセス
トンレサップ湖はとても大きな湖で、観光コースもいくつかあります。観光客に定番なのは、コンポン・プルックとチョンクニアの主に2つです。
コンポン・プルック観光の場合
コンポン・プルック [Kampong Phluk]は、シェムリアップの街から南東にあるエリアで、ロリュオス遺跡群のさらに先にあります。ロリュオス遺跡群から約4kmほど進んだ位置にあるチケット販売所で支払いを済ませ、船主さんのもとに向かいます。
ポイントは何といっても緑が美しいマングローブの林! マングローブ林のボートクルーズを楽しめるのはコンポン・プルックだけです。
また、トンレサップ湖で生活している人はベトナム人が多いのですが、コンポン・プルックの辺りの住人はカンボジア人ばかりです。
トンレサップ湖単体で観光することもできますが、スケジュールに余裕があるならロリュオス遺跡群(バコン遺跡やプリア・コー遺跡)と組み合わせて観光するのもオススメ!
または「Angkor Wildlife & Aquarium」に寄って、トンレサップ湖に生息する生き物たちを観察するのも面白いですよ。
チョン・クニア観光の場合
チョン・クニア[Chong Khneas]は、シェムリアップから南に11kmほど進んだ位置にあるエリアです。コンポン・プルックよりも近いので手軽にアクセスできます。
チョンクニアの場合、住民の多くはベトナム人です。人々は水上に浮かぶ家屋で生活し、漁業などで生計を立てています。
湖上には、家屋だけでなく学校やお店、教会なども浮かんでいます。ボートクルーズでは、途中で小学校に立ち寄ることが多いです。
シェムリアップの街からチョンクニアに向かう途中には、夕日鑑賞スポットとして人気のある「プノン・クロム遺跡」や美しい蓮畑などもあるので、道中の観光も楽しめます。
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【番外編】プレック・トアール観光
バードウォッチングがお好きな方なら、チョンクニアからさらにボートで移動して「プレック・トアール」で自然観察をしてみるのも楽しいかもしれません。訪問する人がほとんどいないため、野鳥が多く生息しているエリアです。
ただし、かなり遠いエリアになるため、個人での手配はかなりハードルが高そう。気になる場合は現地の旅行会社に相談してみましょう!
Klook.com実際にボートクルーズに参加してみました!
ここからは実際にコンポン・プルックを訪問したときの様子をご紹介していきます! 訪問する予定のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
下記の内容は8月に行った際の様子です。季節によっては、状況が異なる可能性があります
トゥクトゥクで船着場まで
コンポン・プルックに向かうには、まずはシェムリアップの街から国道6号線に沿ってプノンペン方面に進みます。ロリュオス遺跡群の辺りで右折し、そのあとは南に向かってほぼ直進です。
しばらくすると広大な水田地帯が広がります。雨季は緑が青々と茂っていて、青空とのコントラストが美しいです。
しばらくするとボートチケット販売所に到着します。ここでチケットを購入してから船着場に向かうシステムです。
チケット販売所にはトイレが設置されています。ここから先はトイレを利用できる場所が基本的に無いので、トイレ休憩はここで済ませておきましょう。
個人手配で訪れた場合、ボートチケット代は1人あたり25ドルの一律料金でした。
ツアー参加の場合には、ボートチケット代が基本的にツアー代に含まれているので、チケット販売所で購入する必要はありません。ツアー申込時に、チケット代込みなのか一応確認しておきましょう!
個人手配とツアー参加、どちらのパターンも経験しましたが、それぞれにメリットがありました。ただツアーの場合、参加人数が多いと車内がだいぶ窮屈になる場合も・・・。気にならない場合にはどちらでもOKだと思います!
エンジンボートに乗って出発!
チケット販売所からさらにトゥクトゥクで進むと船着場に到着です!
ここで係員の人にチケット見せて、船に乗り込みます。4人で訪問した際は、1艘貸し切りで利用することができました。
基本的に屋根付きのエンジンボートに乗車することになるので、暑さはそれほど気になりません。船が進み始めると風が吹いて気持ちいいです!(帽子などは飛ばされないように注意)
参加人数が多いツアーの場合には二階建てのエンジンボートに乗ることもあります。
一方で、乾季の水量が少ない時期には大きい船は進めなくなるので、小型のボートに分散して乗船することもあるので、どの船に乗るのかはタイミング次第です。
船着場を出発したら、まずは川に沿って進み、集落エリアに向かいます。
この地域の家屋は、年間を通して水深の変化に対応するために、独特の高床式になっています。その高さは数メートルもあり、住んでいる人々は階段や梯子を使って出入りしています。
その土地に合わせた現地の暮らしを実際に目にすることができるのも、トンレサップ湖観光の醍醐味ですね!
マングローブの林を探検!
しばらくエンジンボートを進めていくと、マングローブの林が見え始め、途中で休憩所兼レストランがあります。一旦そこで船から降りて、簡単なトンレサップ湖の解説を聞きました。
生簀の中にはワニが飼育されていました。かつてトンレサップ湖には野生のワニたちが生息していましたが、今ではほぼ見かけません(野生のワニがそこら辺にいたら怖いですよね・・・)。
シェムリアップ近辺ではこのようにワニを飼育しているところを稀に見かけます。以前はシェムリアップ市内にも「クロコダイルファーム」がありました。街中には観光客向けにワニ肉を提供しているレストランもありますね。
マングローブの林では、手漕ぎボートに乗り換えて約30分間のクルーズを楽しむオプションもあります。
ボートは2人乗りで、1艘10ドル(1人あたり5ドル)です。船に乗れるのはお客さん2人と船頭さんの3人だけなので、ツアーで訪れていてもガイドさんは同乗しません。
船頭さんが話せるのは基本的にクメール語のみですが、所定のコースを30分ほどかけて周ってくるだけなので言語コミュニケーションの心配はあまりしなくて大丈夫。ボートの支払いは受付で済ませてください。
エンジンボートでは通れないような入り組んだ林の中を小型ボートに乗って進んでいきます。マングローブの林の中の澄んだ空気をぜひ堪能してくださいね。
木漏れ日が差し込むマングローブの林はとても美しいです。 ここでしか体験できないボートクルーズなので、せっかく訪れたならぜひお試しを!
林の中はとても静かで、櫂が水面に触れる音や鳥の鳴き声が遠くから聞こえてきます。豊かな自然の中でぜひ存分にリラックスしてくださいね。
小舟に乗っているときに、野生の猿にも出会いました。木の上を上手に渡って移動していましたよ!
水上レストランで休憩
マングローブ林のボートクルーズを終えたら、一旦水上レストランに戻ってきます。それほどメニューが豊富なわけではありませんが、希望する場合にはここで飲食をすることも可能です。
屋上にはテラスが設置されていて、広大なトンレサップ湖の景色を一望することができました! 水平線がどこまでも続いていて、反対側の岸が見えないほど広いです。
まるで海のような巨大な湖
行きに乗ってきたエンジンボートに再び乗り込んで、クルーズの後半が再開です。湖とは思えないほど広大なトンレサップ湖の中をどんどん進んでいきます。
天気が良いと水平線と空の境界が曖昧になって、さらに幻想的な雰囲気になります。夕日鑑賞も良いですが、日差しが明るい時間帯ならではの魅力も捨て難いですね!
まさに百聞は一見にしかず!
写真ではなかなかトンレサップ湖の広さをお伝えしきれないので、ぜひご自身の目で確かめてみてください
トンレサップ湖で夕日鑑賞もオススメ
シェムリアップ近辺には、夕日鑑賞が楽しめるスポットがいくつかありますが、トンレサップ湖での夕日鑑賞も人気が高いです!
実際、現地の旅行会社でも夕日鑑賞の時間帯に合わせてツアーを組んでいることがよくあります。帰りは日が沈んで暗くなるので、夕日鑑賞の場合には現地ツアーの方が安心かもしれませんね。
トンレサップ湖の観光の注意点
旅行中の注意点は、街歩き・遺跡観光でも同じですが、ボートに乗って移動をするため、スマホやカメラの水没には特にご注意ください!
また、万が一のためにライフジャケットなどの確認をしましょう。
スマホなどの水没に注意!
ボートクルーズは基本的に穏やかなルートを進むのでそれほど危険はありませんが、ときどき揺れることもあるので注意が必要です。
特に撮影に夢中になって、うっかりスマートフォンやカメラなどを落とさないように気をつけましょう!
救命胴衣などを確認
基本的にいずれのボートにも救命胴衣(ライフベスト)が準備されているはずです。
座って乗船していれば落ちるようなことはまずありませんが、心配な方やお子さんは身につけておいても良いかもしれませんね。
万が一に備えて、救命胴衣などが準備されているか確認しておきましょう。
高額なチップ要求に注意
特にチョンクニアのボートクルーズでは、船頭さんから高額のチップを要求されることがあるようです(任意でいくらかの心付けを渡すことはあります)。
また、ボートクルーズの途中に商店などに立ち寄って、半ば強引に商品を買わされるケースもありました。
ガイドさん付きの現地ツアーに参加した方がトラブルを避けやすいと思います。
数年前になりますが、チョンクニアでは実際に高額チップを要求されたことがありました。すべてのケースに当てはまる訳ではありませんが、そうしたトラブルの事例があることは頭の片隅に置いておくといいかもしれません・・・
トンレサップ湖の観光まとめ
今回はトンレサップ湖の観光についてご紹介しました!
カンボジア旅行というと遺跡観光のイメージが強いかもしれませんが、こうした壮大で豊かな自然に触れられるのもカンボジアならではの魅力です。
特にトンレサップ湖では、ここでしかできない貴重な体験ができるので、シェムリアップに訪れた際はぜひ足を運んでみてくださいね!
Klook.com
今回はそんなトンレサップ湖の魅力とボートクルーズの内容について、くわしくご紹介していきます!