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カンボジア現代アートを体感|シェムリアップの新美術館「SM Art Center」

シェムリアップで新しい文化体験を探している方におすすめしたいのが、2025年にオープンした現代アート美術館「SM Art Center」です。

遺跡観光が中心になりがちなシェムリアップですが、近年はアーティストたちの表現活動も活発で、アートを通してこの国の文化や価値観に触れられるスポットとして注目されています。

SM Art Centerは、そうした流れを象徴するような静かで落ち着いた空間が魅力で、中心部から少し離れたエリアにありながらアクセスも良好です。

CN編集部

SM Art Centerの特徴や展示の雰囲気、施設情報、そして実際に訪れた際の体験を交えて、その魅力をご紹介します!

SM Art Centerの概要と特徴

シェムリアップ郊外に誕生した新しい現代アート美術館 SM Art Center は、単なるギャラリーではなく、アート・デザイン・文化を統合した複合空間。静かな環境で、カンボジアの今を映す現代アート作品にじっくり触れられる場所として、多くの旅人やアート好きの注目を集めています!

現代アートに特化した美術館としてのコンセプト

SM Art Center は、共同創設者である Svay Sareth 氏と Yim Maline 氏 によって立ち上げられた「カンボジアの今」を映す現代アートの拠点です。彼らの作品やキュレーションを通じて、過去の記憶や社会の変化、個人と共同体の関係など、カンボジアが歩んできた歴史と未来への想いが芸術的に表現されています。

単に作品を“見る”ための場ではなく、アートを通じて「過去と現在、人と社会」を静かに見つめ直すための場所として設計されており、訪れる人に深い感情や考えを呼び起こすことを目的としています。

SM ART Center公式サイト
https://sm-artcenter.com/en/

カンボジア人アーティストによる多様な作品

ギャラリー内では、カンボジア人アーティストが生み出す絵画、彫刻、インスタレーションなど、多様な作品が展示されています。

伝統的なモチーフを現代の言語で再解釈した作品や、内戦や社会の変化、移民・記憶・アイデンティティといったテーマを扱った重層的な作品群もあり、作品を通じてカンボジアの歴史や人々の心の内側に触れることができます

こうした “生の声” を持つアーティストたちの作品をまとめて見られる場はまだ珍しく、SM Art Center はまさに「今、この国だからこそ生まれた表現」を見ることができる稀有な場所です。

アート好きだけでなく、カンボジアの社会や歴史に関心のある旅行者にもおすすめできます。

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映像インスタレーションを含む展示スタイルの特徴

SM Art Center の特徴のひとつは、絵画や彫刻だけでなく、映像作品やインスタレーションを交えた展示を行っている点です。

映像、音、空間、時間――それらを巧みに組み合わせることで、訪問者はただ「作品を見る」のではなく、「その世界に身を置く」ような没入体験を味わえます。

こうした展示スタイルは、言葉や説明だけでは伝わりづらい感情や記憶、歴史やアイデンティティといったテーマを、よりダイレクトに心に届ける手段として機能します。

絵画の前で立ち止まるだけでは得られない、身体と感覚で感じるアート体験がここにはあります。

施設情報まとめ(立地・アクセス・料金・開館時間)

SM Art Center は、観光地の中心部からほど近い場所にありながら、静かな環境で落ち着いてアート鑑賞が楽しめるのが魅力です。訪問前に知っておきたいアクセスや料金、開館時間などの基本情報をまとめました。[2025年12月時点の情報]

中心部から少し離れた静かなロケーション

SM Art Center は、シェムリアップ中心部から車・トゥクトゥクで10分ほどの位置にあります。観光エリアの喧騒から少し離れたロケーションにあり、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと過ごせる点が魅力です。

建物は周囲の自然と調和するように設計されており、館内に入る前から静けさが漂います。トゥクトゥクや車でのアクセスが便利で、観光の合間に気軽に立ち寄りやすい距離感です。

入場料・開館時間・滞在時間の目安

入場料は大人5ドル(外国人料金)。開館時間は8:00〜17:00で、比較的ゆったりと利用できます。

展示スペースは広すぎず、作品に集中できるサイズ感のため、滞在時間の目安は45分〜1時間ほど。映像展示をじっくり見たい方は、1時間以上かけて回るのもおすすめです。午前中や夕方の時間帯は比較的静かで、作品を落ち着いて鑑賞できます。

併設施設(カフェ・ショップ)の利用ポイント

館内には、鑑賞後の余韻を楽しむのにぴったりのカフェとショップが併設されています。カフェでは、静かな空間で飲み物を楽しみながらゆっくり過ごすことができます。

ショップには、アート関連のアイテムやデザイン雑貨が並び、旅のお土産にもおすすめです。展示の世界観を持ち帰れるようなアイテムもあり、作品を深く理解したあとに眺めると、より味わいが増します。

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実際に訪れてみた体験レポート

実際に SM Art Center を訪れてみた私の体験をもとに、特に印象に残った展示や空間の様子、そして感じたことをまとめます。言葉では伝えきれない“現地で感じるリアル”を、できるだけ伝えたいと思います。

印象的だった展示やアート作品

館内でまず目を引いたのは、 Svay Sareth 氏による作品群。

例えば YELL AND SILENCE は、カモフラージュ生地をまとった人物が、手に蓮の花を持つという対比が強く、戦争による喪失と平和への希求、弱さと強さといったテーマが紙一重で表現されていました。13歳で難民キャンプで過ごしたという彼自身の過去が、この作品には静かに、しかし重く刻まれているように感じます。

YELL AND SILENCE

また THE LAST PILLARS OF THE YEAR ZEROは、柱のような彫刻で、カンボジアの苦難の歴史――“Year Zero” の時代――を象徴的に表しており、静かに迫る存在感がありました。

一見すると抽象的な形ですが、近づくほどに荒々しい質感や重みのある佇まいが見えてきて、歴史の傷跡そのものが形をとって現れているようでした。作品の前に立つと、時間がゆっくり引き伸ばされるような感覚になり、「過去を記憶しながら未来へ進む」というテーマが身体の内側に染み込んでくるようです。

THE LAST PILLARS OF THE YEAR ZERO

RISING FROM THE ASHESは、タイトルの “Ashes(灰)” の通り、破壊や喪失のあとに残るものを想起させる作品です。

しかしそこから “Rise(立ち上がる)” という言葉が示すように、ただ過去を悼むだけではなく、再生と希望に向かう力強さを秘めています。この作品は、戦争と復興、痛みと再生というカンボジアが辿ってきたサイクルを象徴するような存在で、静かながらも確かな「前へ進む意志」が伝わってきました。

RISING FROM THE ASHES

Yim Maline 氏の作品は、柔らかい素材や有機的な形を使いながら、「人間とは何か」「記憶とはどこに宿るのか」といったテーマに静かに向き合っています。

BACK TO US は、再生布や布地など“過去に使われてきた素材”を用いることで、記憶の積み重ねや、時間の痕跡をそのまま作品として提示しています。作品の前に立つと、不思議な温度感があり、人と人とのつながり、家族、日常、生きてきた時間そのものが、空間の中に優しく溶け込んでいくような感覚がありました。

BACK TO US

同じく Yim Maline 氏によるTHE ARTIFICIAL ESTHETICは、自然物のようにも人工物のようにも見える不思議な造形が特徴的です。光の当たり方によって影が伸びたり、色味が変化したりと、鑑賞する位置によって作品の印象が大きく変わります。

「人工的に作られた美」と「自然が持つ本来の美」の境界を探るような視点を持っており、私たちが“美しい”と感じる基準はどこから来ているのか、と静かに問いかけてきます。環境や人間の価値観、都市化と自然の対比といったテーマが、柔らかい造形の中に見え隠れしていました。

CN編集部

心地よい違和感を抱きながら、ずっと眺めていたくなる作品です

THE ARTIFICIAL ESTHETIC
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映像作品がつくる没入感ある空間

SM Art Center では、静止画や彫刻だけではなく、映像やインスタレーションも展示に組み込まれており、空間全体でアートを体験できるのが特徴です。

たとえば、Svay Sareth の過去のパフォーマンス作品は、映像で記録されており、鑑賞者はただ見るのではなく「体験する」ような感覚を味わうことができました。

一方で、 Yim Maline 氏による BACK TO US や THE ARTIFICIAL ESTHETIC のようなインスタレーション作品は、リサイクル布や古い布地を用いた柔らかな素材で構成され、光や影、空間の広がりと相まって、鑑賞者を異世界のような感覚へと誘います

CN編集部

音、素材、空気、空間全体――あらゆる要素が重なって、心の中に静かな揺さぶりを与えてくれます。このような没入型のアート体験は、写真や映像ではなかなか伝わりづらいため、実際に足を運ぶ価値を強く感じました!

訪れて感じたこと・おすすめしたいポイント

SM Art Center を訪れて、まず感じたのは「静けさと対話の時間の贅沢さ」。喧騒の多い観光地から少し離れた場所にあるため、館内は落ち着いていて、自分のペースで作品と向き合えます。歴史や社会の重みをまとった作品群でありながら、空気は重くならず、むしろ“考える余白”を与えてくれました。

また、作品の展示数は多くても過剰でなく、空間に余白があることで、それぞれの作品を丁寧に味わえるのもよかった点です。作品の背景や作者の思いを想像すると、展示室で過ごす時間が自然と深く、豊かなものになりました。

さらに、映像や素材を使った作品が豊富なため、「ただ写実的な絵を見る」だけでは得られない感覚を味わえるのも、SM Art Center ならでは。戦争や記憶、再生、環境、アイデンティティといった複雑なテーマを、身体的にも精神的にも感じられる場所です。

CN編集部

今回ご紹介したのは全体のうちのほんの一部。空間全体を含めて「アート」になっているので、興味のある方はぜひ実際にご自身で足を運んでみてください

まとめ|シェムリアップで現代アートを楽しむなら

シェムリアップで遺跡観光だけではない新しい魅力を探している方には、SM Art Center は特におすすめのスポットです。

カンボジア人アーティストによる現代アート作品を通して、この国が抱えてきた歴史や価値観、そして未来へのまなざしを静かに感じ取ることができます。

展示は絵画や彫刻だけでなく、映像インスタレーションなど多彩な表現がそろっており、観光の合間に文化的な時間を過ごしたい旅行者にもぴったりです。中心部から少し離れた落ち着いたロケーションにあり、滞在そのものが心を整えてくれるような美術館でした。

CN編集部

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