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プノンペン国立博物館を徹底解説|遺跡とあわせて楽しむクメール文化の魅力

プノンペン観光でぜひ訪れたいスポットのひとつが「カンボジア国立博物館(National Museum of Cambodia)です。

王宮のすぐ近く、街の中心部に位置するこの博物館は、1920年に開設されて以来、世界最大級のクメール美術コレクションを誇る文化拠点として知られています。館内にはアンコール時代の壮大な彫像や繊細な陶器、青銅器、民族誌的資料など、カンボジア各地から集められた文化財が数多く展示されています。

また、遺跡では保護のためにレプリカが置かれている像の本物も収蔵されており、遺跡観光と組み合わせて楽しむことで、より深い理解が得られるのも魅力です!

カンボジア国立博物館とは?

カンボジアの歴史と芸術を象徴する文化拠点が、プノンペン中心部にある国立博物館です。ここでは、博物館が誕生した経緯と訪れやすい立地についてご紹介します。

こちらの記事で紹介する カンボジア国立博物館(National Museum of Cambodia) は、プノンペンの中心部に位置する同国最大の文化史博物館です。日本語では「カンボジア国立博物館」と表記されるのが正式ですが、所在地を踏まえて「プノンペン国立博物館」と呼ばれることもあります。クメール語では សារមន្ទីរជាតិ(サラモンティー・チアット) と表され、観光ガイドや地図でもこの名称が使われています。

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博物館の歴史と設立

カンボジア国立博物館(National Museum of Cambodia)は、1920年に開設されたカンボジア最大の文化史博物館です。その設立には、フランス人学芸員ジョルジュ・グロリエをはじめとする多くの人々の尽力がありました。フランス統治下にあった時代、失われつつあったクメール美術や歴史的遺物を体系的に収集・保存する必要性が高まり、この博物館が誕生しました。

建物自体も注目すべき文化財で、伝統的なクメール様式を取り入れた独自の建築デザインが採用されています。赤褐色の外観と緩やかに反り上がる屋根は、訪れる人に強い印象を与え、博物館そのものが「生きたクメール美術」とも言える存在です。

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また、博物館は歴史の荒波にも翻弄されました。クメール・ルージュ政権下では展示品の多くが放置され壊滅的な状況に陥りましたが、その後の整理・修復によって再び息を吹き返し、1979年には一般公開を再開しました。

近年も文化財返還の動きが進み、2024年には米国から14体の彫像が戻され、展示に加わっています。このように、国立博物館は単なる展示施設にとどまらず、文化財保護と歴史継承の最前線で重要な役割を担ってきました。

アクセスと立地

プノンペン国立博物館は、観光の中心地である王宮やシルバーパゴダのすぐ近くに位置しており、初めて訪れる旅行者でもアクセスしやすいのが魅力です。

観光ルートにも組み込みやすく、王宮見学とあわせて半日で回るプランもおすすめです!周辺にはレストランやカフェも多いため、散策の合間に立ち寄れる点も旅行者にとって大きなメリット。

カンボジア国立博物館の館内構造と利用情報

館内は伝統的なクメール様式の建築で、中庭を中心に回廊が巡らされ、展示品を順序立てて鑑賞できるようになっています。

回廊式の構造と鑑賞の流れ

プノンペン国立博物館の建物は、赤褐色の壁と美しい屋根が特徴的なクメール様式の建築です。館内は大きな中庭を囲むように回廊が配置されており、訪れる人はこの回廊を時計回りに歩くことで、時代ごとの展示を順序立てて鑑賞できる構成になっています。

展示室は時代や地域ごとに区切られ、プレ・アンコール期からアンコール期、さらには近世に至るまでの展示品を体系的に見て回れるのが特徴です。

中心の中庭には、彫像やリンテルなどが点在し、開放的な雰囲気の中で芸術作品をじっくりと味わうことができます。博物館自体が伝統建築を活かした文化財であり、展示品とともに建物そのものも鑑賞の対象といえるでしょう。

館内の撮影ルール

プノンペン国立博物館では、基本的にカメラによる撮影は禁止されています。フラッシュや三脚を使用した撮影も認められていませんが、スマートフォンを使った写真撮影は許可されています。そのため、訪問記録やSNS投稿用に写真を残すことが可能です。

CN編集部

カンボジア旅行の思い出を写真に残しておけるのは良いですね!

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開館時間・入場料・観光の目安時間

プノンペン国立博物館は、午前8時から午後5時まで開館しており、基本的に年中無休で旅行者に開かれています。入場料は外国人の場合1人10ドルで、現地で直接購入可能です。

荷物はチケットカウンターの隣にある部屋に預けることができます。自分でロッカーの鍵を管理することになるので、無くさないように注意しましょう。

開館時間 8:00-17:00(最終入場は16:30)
入場料 大人10USD(10〜17歳は5USD,9歳以下無料)

観光にかかる所要時間はおよそ1〜2時間が目安で、展示をじっくり見たい人でも半日あれば十分に楽しめます。王宮やシルバーパゴダといった観光スポットが徒歩圏内にあるため、組み合わせて訪れる旅行者も多いです。

館内には簡単なショップも併設されており、関連書籍やお土産を購入することができます。短時間で効率的に見学することも可能ですが、時間に余裕をもって訪れると、展示の奥深さや歴史背景をより深く理解できるはずです!

カンボジア国立博物館の展示の見どころ

館内には、クメール美術を中心にカンボジア全土から集められた膨大な文化財が展示されており、訪れる人を圧倒します。展示品の説明はシンプルなので、じっくり楽しみたい方は予習していくのがおすすめです。

世界最大級のクメール美術コレクション

プノンペン国立博物館の最大の特徴は、世界でも有数の規模を誇るクメール美術コレクションです。プレ・アンコール期からアンコール王朝、さらにはポスト・アンコール期まで、幅広い時代の美術品が揃っており、文化の変遷を一望できます。

特にアンコール時代の彫刻群は迫力があり、王や神々を表現した像からは当時の宗教観や権力の象徴性を感じ取ることができます。また、地方の遺跡から収集された石像や寺院装飾も多数展示されており、各地域の特色を比較しながら鑑賞できるのも魅力です。これらの展示を通じて、単なる芸術品としてではなく、信仰や生活と深く結びついたクメール文化の本質を体感できるでしょう。

CN編集部

これほど貴重なコレクションを間近で鑑賞することができるなんて驚きです!

国立博物館で必見の彫像!

ジャヤヴァルマン7世像

プノンペン国立博物館の展示の中でも、特に見逃せないのがアンコール王朝を代表する王「ジャヤヴァルマン7世」の彫像です。王が静かに瞑想する姿を表したこの彫像は、装身具を身につけていない質素な姿が特徴で、そこからは王の高い精神性や内面的な強さが伝わってきます。

穏やかな表情をたたえる顔立ちは、慈悲深い統治者として知られるジャヤヴァルマン7世の人柄を象徴的に映し出しており、史料としても芸術品としても非常に価値の高い作品です。

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8本腕のヴィシュヌ神像

堂々たる存在感で観る者を圧倒するこの像は、クメール美術に特徴的な馬蹄型の支柱を背後に備え、高さはおよそ2m70cmに達します。

制作年代は6世紀末から7世紀初頭と推定されており、古代クメールの宗教観と美術様式を同時に体感できる作品です。力強さと荘厳さを兼ね備えた造形は、クメール美術の精華を示す代表的な例といえるでしょう。

アナンタの上に横たわるヴィシュヌ神像

「アナンタ」という大蛇の上に横たわるヴィシュヌ神像も必見です。ヒンドゥー神話における宇宙観を表す重要なモチーフで、カンボジアの遺跡破風などにしばしば登場しますが、立体的な彫像としては非常に珍しい存在です。

この像は長らく国外にありましたが、2024年にアメリカ合衆国から返還され、現在は博物館で公開されています。神話世界を具現化したようなこの作品は、近年の文化財返還の象徴的存在ともいえます。

ヴィシュヌ神の青銅製大横臥像

1936年、フランス極東学院(EFEO)による西メボン寺院の発掘調査中、古井戸の内部から発見されました。現在残されているのは胸から上の部分のみですが、全体像は4メートルを超える巨大なスケールだったと推定されています。その迫力と神秘性は、断片だけでも十分に来館者を魅了します。

なお、この像は2025年9月ごろまでパリのギメ東洋美術館に展示された後、2027年ごろまで米国各地で巡回展示される予定です。国際的な舞台で注目を集める一方、プノンペン国立博物館を代表する至宝として高い存在感を放ち続けています。

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陶器・青銅器・民族誌的資料

彫刻だけでなく、陶器や青銅器、そして民族誌的な資料も豊富に収蔵されています。陶器は紀元前の素朴な日用品から、アンコール時代の洗練された装飾陶器まで幅広く展示され、当時の人々の生活文化を知る手がかりとなります。

青銅器の展示では小像が多く見られ、信仰や祭祀のあり方が垣間見えます。また、民族誌的な資料としては装身具や織り機なども収蔵され、近代まで受け継がれてきたカンボジア文化の多様性を感じ取ることができます。

CN編集部

これらの展示は、壮麗な石像に比べると華やかさは控えめですが、人々の暮らしや精神世界を理解するうえで欠かせない存在です

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遺跡の彫像と博物館にある本物の展示

カンボジアの遺跡に立つ彫像や装飾の中には、保護のためにレプリカが設置され、本物はプノンペン国立博物館に収蔵されているものがあります。

アンコール・トムのライ王像

アンコール・トムの「ライ王のテラス」に置かれているライ王像は、観光客がよく目にするものの実はレプリカです。本物はプノンペン国立博物館に収蔵されており、より安全な環境で鑑賞できます。

この像には「ライ王」だけでなく「閻魔大王」といった説が存在し、その正体については今なお検討が続いています。

遺跡現地では雰囲気を味わい、博物館では保存状態の良い本物をじっくりと観察できるのが魅力です。歴史的な謎を秘めたこの像は、アンコール遺跡群と国立博物館を結ぶ重要な存在といえるでしょう。

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サンボー・プレイ・クックの女神ドゥルガ像

世界遺産サンボー・プレイ・クックの祠堂に安置されている女神ドゥルガ像も、実際に見られるのはレプリカです。本物はプノンペン国立博物館に収蔵され、保存状態の良い姿を鑑賞することができます。

この像は、魔牛マヒシャを退治する戦いで知られるヒンドゥーの女神ドゥルガを表現したもので、しなやかな体の曲線美や衣装の表現が大変美しく、女性像彫刻の傑作と評価されています。遺跡では歴史的な空気感の中で、博物館では美術品としての完成度を堪能でき、両方を訪れることで理解がより深まる作品です。

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バンテアイ・スレイ寺院の破風

「東洋のモナリザ」とも称される精緻な彫刻で有名なバンテアイ・スレイ寺院。その破風の一部も、現在はプノンペン国立博物館に保管展示されています。ここで見られるのは、ヒンドゥー叙事詩『マハーバーラタ』に描かれる戦いの場面をモチーフにしたものです。

遺跡現地に残る装飾と比べると、保存状態が良く、細部まで鮮明に鑑賞できる点が大きな魅力です。戦士たちの緊張感あふれる姿や、躍動感ある彫り込みからは、10世紀のクメール美術が誇る高度な技術と豊かな想像力を実感できます。遺跡で全体の雰囲気を味わい、博物館で細部をじっくり確認することで、相互補完的に楽しめる展示です。

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まとめ|国立博物館はクメール文化を理解する入口

プノンペン国立博物館(National Museum of Cambodia)は、世界最大級のクメール美術コレクションを誇るカンボジア観光の必見スポットです!

アンコール時代の壮麗な彫像や陶器、青銅器に加え、遺跡ではレプリカしか見られない本物の展示も収蔵されています。王宮から近くアクセスも便利で、1〜2時間あれば十分に見学できる点も魅力です。歴史の荒波を乗り越え、今も多くの文化財を守り続けるこの博物館は、遺跡観光とあわせて訪れることで理解が一層深まります。

CN編集部

カンボジアの歴史と芸術を体感できる入口として、ぜひ旅程に加えてみてください!