ベンメリア遺跡は、12世紀中頃に建てられた巨大寺院で、発見された当時に近い状態で残っている貴重な遺跡です。
崩れ落ちた遺跡に木々が絡まる姿はとても神秘的で、ジブリ映画「天空の城ラピュタ」の世界観に似ていることから、日本人観光客にとても人気のあるスポットになっています!
ベンメリアってどんな遺跡?
特に日本人観光客に人気のあるベンメリア遺跡。まずは寺院が建てられた背景やポイントについてチェックしていきましょう!
「東のアンコール・ワット」だった?
ベンメリア遺跡は、12世紀中頃に建てられたと言われていますが、実はまだ詳しいことはわかっていません。
多くの遺跡は碑文とセットで見つかることが多いのですが、ベンメリア遺跡は決め手となる碑文が欠落しているため、建築年代については謎に包まれています。
ベンメリアは「蓮の池/花束の池」という意味です。環濠に蓮の花が咲いていたり、花のモチーフが装飾として彫られていたりします。
ベンメリア遺跡は、アンコール・ワットと形式が似ていることから「東のアンコール・ワット」とも呼ばれます。
両遺跡の建築や美術様式を比較すると、どうやらベンメリアの造成工事はアンコール・ワットよりも遅く着工され、完成はアンコール・ワットよりも少し早かったようです。
『天空の城ラピュタ』のモデル?
ベンメリア遺跡は、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』のモデルであると紹介されていることもありますが、本当でしょうか。
地雷撤去により、2001年から観光可能に
ベンメリア遺跡の観光が可能になったのは2001年以降です。それ以前は、遺跡近辺の地雷撤去が完了しておらず、一般客が立ち入ることができませんでした。
現在、寺院内の地雷は中心伽藍と参道沿いについては除去作業を終えているそうです。しかし、バライ(貯水地)の中や周辺地域は2011年時点で未確認であり、まだ地雷や不発弾が残っている可能性もあります。
基本的に、参道と中心伽藍を含む観光エリアは安全ですが、それ以外の場所には無闇に立ち入らないようにしましょう。赤い看板の先は未撤去エリアなので、決して入ってはいけません。
ベンメリア遺跡への行き方
ベンメリア遺跡は、シェムリアップ市内から北東に約60kmの位置にあります。車やトゥクトゥクで行くのが一般的で、片道1時間〜1時間半ほどかかります。
近年はベンメリアまでの道路が整備されてきたので、以前と比べてだいぶアクセスしやすくなりました。
それでも、途中は砂埃が激しい部分もあるので(特に乾季)、道中の快適さを求めるなら車がオススメです。
トゥクトゥクで行く場合には、砂埃よけのマスクやサングラスがあると多少緩和されるかもしれませんね
トゥクトゥクをチャーターする場合には、往復で30ドル前後が相場です。車の場合には、その2倍くらいになります。他の遺跡と組み合わせる場合には、距離によって料金が変わるのでご注意ください。
入場にはアンコールパスが必要!
2020年よりベンメリア遺跡に入場するには、アンコールパス(アンコール遺跡群の入場券)が必要になりました。
それ以前は、アンコールパスは不要で、5ドルの独自チケットを購入する必要があったのですが、今はアンコールパスに含まれています。
アンコールパスを購入する際には、チケットの有効日数に合わせて、観光のスケジュールを事前に計画しておきましょう。ベンメリア遺跡の場合には、少なくとも半日は必要です。
他の遺跡とセット観光がおすすめ
もしもスケジュールに余裕があるなら、他の遺跡とセットで観光するコースがおすすめです。
特に「バンテアイ・スレイ」と組み合わせたコースは、観光客にとても人気があります。
安心&便利な
ガイド付きツアーを検索!
ベンメリア遺跡の見所!
ベンメリア遺跡の見所は、何といっても「森に埋もれた遺跡」の姿です。遺跡が発見された当時に近い状態を楽しむことができます。
しかし、それ以外にも壁面に残されたヒンドゥー教のレリーフや見事なナーガ像など、見どころはたくさんあるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
南側の参道からスタート
駐車場のすぐ脇に南側の入り口があります。
ベンメリア遺跡は、南北880m、東西1030mの環濠に囲まれており、観光客は南側の橋を渡って中に入っていきます。参道がまっすぐ続いているので、それに従って進んでください。
中央伽藍の全体像
ベンメリア遺跡は崩壊している箇所が多いため、観光のためのルートが限定されています。
遺跡としての正面は東側ですが、観光の際には南参道から進み、第2回廊(下図青色の部分)の脇から中に入っていきます。
下記のルートは一例です。基本的に寺院内部への入り口は下記の図の位置となりますが、出口は他にもあるのでぜひ色々探検してみてくださいね!
遺跡の中はまるで迷路のようですが、まずは中央エリアを目指して進みましょう。所々、木製の歩道や階段が設置されていますが、石の上を自分で登る箇所もあります。
ただし、石が崩れてくる可能性もあるので、指定されているルート以外には立ち入らないようにしましょう。
遺跡内はかなり入り組んでいて道に迷いやすいです。見どころとなるレリーフも見落としがちなので、ガイドさんと一緒に観光するのがオススメですよ!
緑と一体化した遺跡の姿
ベンメリア遺跡の見所は、何といっても「森に埋もれた遺跡」の姿です。遺跡が発見された当時に近い状態を楽しむことができます。
探検気分で散策できるので、他とは一味ちがうカンボジア旅行の思い出が作れるのではないでしょうか。
遺跡の中に入ると、まるでタイムスリップしたような不思議な感覚が味わえます!密林に飲み込まれた遺跡のイメージそのものですね。
第2回廊の北側には、光の差し込まない通路があります。
どういった目的で使われていたのか明らかになっていません。足元に注意して進んでくださいね。
美しい貴重な装飾
ベンメリア遺跡は損傷が激しく、当時の原型をあまり留めていませんが、いくつかの貴重なレリーフは今も残っています。特に入口付近の破風やリンテルは見事なので、ぜひ足元に注意しながら、頭上にも目を向けてみてください!
サイに乗るアグニ神
アグニ神は、赤色の体に炎の衣を纏ったインド神話の火神です。サイに乗った姿はとても珍しいので、ぜひお見逃しなく!
炎の中に身を投じるシータ姫
「ラーマーヤナ」物語の一場面です。シータ姫が自らの身の潔白を証明するために炎の中に身を投じるシーンが描かれています。
乳海攪拌とヴィシュヌ神
ヒンドゥー教の創世神話である「乳海攪拌」は、アンコール遺跡のあらゆる場面で描かれています。こちらのリンテル(まぐさ石)は風化がだいぶ激しいですが、亀王クールマの姿と左右でヴァースキ(蛇)を引っ張り合う神々と阿修羅の姿が見てとれます。
保存状態が抜群のナーガ像
ベンメリア遺跡のナーガ(蛇)は保存状態が大変良いことで有名です。南側の参道には、大変美しいナーガ像が設置されています。2009年に土中から発見されたもので、細部まできれいに残っています。
また、南テラスの欄干にあるナーガも保存状態が良いため、「Best of Naga」とも呼ばれています。
ナーガについてはこちらでも紹介しています!
ベンメリア観光の注意点
石を上り下りする箇所もあるので、動きやすい服装がオススメです。蚊も多いので、長ズボンが一番良いかもしれません。
また、一部の石や木製の階段には苔が生えている箇所もあります。特に雨季は滑りやすくなっているので、安全のためにも歩きやすい靴で訪れましょう。
一番きれいなトイレは、チケットポイントの近くにあります。移動時間が長くなりがちなので、トイレはここで済ませておきましょう。
遺跡の入口近辺にはレストランがあります。ここで食事をしたり、飲み物を買ったりすることができます。暑い時期はここで一休みしてもいいかもしれませんね。
ベンメリア遺跡の鑑賞ポイントまとめ!
ベンメリア遺跡は、考古学的にも未解明の部分が多く、謎に包まれた遺跡です。
いつ、誰が、どのような目的で建てたのか明確に分かっていません。そうした歴史的ロマンもベンメリア遺跡の魅力の一つではないでしょうか。
シェムリアップからは、やや遠い位置にありますが、一見の価値アリの遺跡です!ぜひ独特な世界観を堪能してきてください。
こちらの書籍もオススメ!
かつて栄えていたであろう大伽藍が崩れ落ちて、森に飲み込まれている姿は、まさに諸行無常。ぜひ探検気分で、遺跡の雰囲気全体を味わってください!