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プノン・バケン遺跡 [Phnom Bakheng] 夕日鑑賞の定番人気スポット

プノン・バケンは、シェムリアップ市内の中でも夕日の観光名所として有名なスポットです。三聖山の一つに数えられており、頂上からはアンコール・ワットを見渡すこともできます。

ジャングルの中に夕日が沈んでいく様子はまさに絶景!遺跡の上に登るのには人数制限があるためハイシーズンは少し早めの時間に向かうのがおすすめです。後ほど詳しくご紹介します。

CN編集部

アンコール・ワットは朝日鑑賞で有名ですが、夕日鑑賞ならプノン・バケンがおすすめ!雄大な自然に囲まれながら、ゆっくりとした時間を過ごしてみませんか?

プノン・バケンってどんな遺跡?

プノン・バケンの歴史

プノン・バケン寺院は、9世紀末にヤショーヴァルマン1世によって造られました。タイ国境近くにある「プレア・ヴィヒア寺院」と同じ時期だと考えられています。

ヤショーヴァルマン1世は、現在のアンコールの地に首都ヤショーダラプラを建設した王としても知られています。その少し前の時代は、現在のロリュオスにあったハリハラーラヤが首都だったのですが、後継者争いによる混乱のため、遷都することになりました。

アンコール王朝の系譜
アンコール王朝の系譜

ヤショーヴァルマン1世以降、基本的には現在のアンコールの地を中心にクメール帝国は発展していくことになります。

プノン・バケン寺院
プノン・バケン基本情報
  • 時代:10世紀初頭(907年)
  • 宗教:ヒンドゥー教(シヴァ神)
  • 建設した王:ヤショーヴァルマン1世
    *ハリハラーラヤ(現在のロリュオス遺跡群)からヤショーダラプラ(アンコール)に遷都をおこなった
  • 建築様式:バケン様式
  • 寺院形態:丘上型
  • 見学時間の目安:1時間30分
    *山頂まで歩いて登る時間を含む

三聖山の一つ「プノン・バケン」

プノン・バケンはカンボジアにおいて三聖山の一つに位置づけられています。かつてのアンコール王朝において、「山」は政治的にも宗教的にも重要な意味を持っていました。

当時の宗教的世界観において、寺院・バライ(貯水池)・山の3つを揃えることはとても重要でした。山は須弥山(メール山)、バライは大海を象徴していたと考えられます。

カンボジアの三聖山
  • プノン・バケン [Phnom Bakheng]
  • プノン・クロム [Phnom Krom]
  • プノン・ボック [Phnom Bok]
プノン・バケン寺院

プノン・バケンまでの行き方

地図で見るとわかるように、プノン・バケンはアンコール・ワットからアンコール・トムに向かう途中にあります。市内中心部からは車やトゥクトゥクで10〜15分ほどです。

夕日鑑賞のために、午後の遺跡観光の最後に訪れるパターンが多いようです。

プノン・バケンから見たアンコールワット
南東方向にアンコール・ワット
Klook.com

山頂まで徒歩15分ほど

プノン・バケン寺院は山頂にあるため、麓からは徒歩で向かう必要があります。車やトゥクトゥクが入れるのは麓の入り口までです。

かつての正面からの参道は閉鎖されているため、山をぐるりと周りながら頂上に向かうコースを進みます。わかりやすい1本道なので迷うことはありません!

それほど斜面は急ではありませんが、標高60mの山頂までは徒歩で20分ほどかかります。ぜひ歩きやすい靴で向かってください。

プノン・バケンの麓
プノン・バケンの麓

入場時間と人数制限に注意!

夕日鑑賞のスポットとして人気のプノン・バケン寺院には入場制限があるため、ハイシーズンは注意が必要です。せっかく山道を登ったのに遺跡に入れなかった……ということがないように気をつけてくださいね!

プノン・バケンの主祠堂の手前で整理券(入場パス)が配布されています。寺院に登れるのは一度に300人までなので、満員になっている場合には前の人が降りてくるまで待たなければいけません。

CN編集部

夕日鑑賞のベストスポットは混雑しがちなので、早めの時間に行ってスタンバイしておくのがおすすめ!

日没のタイミングは季節によって異なります。早い時期は17時半ごろ、遅い時期だと18時半ごろです。その日の具体的な日没時間は簡単に調べられるので、ぜひ事前にチェックしておきましょう。

シェムリアップの日の出・日没時間が調べられるサイト
[Siem Reap First Light, Sunrise & Sunset Times]
https://www.sunrisesunsettime.org/asia/cambodia/siem-reap.htm

プノン・バケン寺院
だいたい16時を過ぎると混み始めます

プノン・バケンの見どころ!

プノン・バケン寺院の見どころは何と言っても、夕日が沈む姿!

遺跡の頂上は、アンコール・ワットよりも高い位置にあるため、5つの尖塔をすべて見ることができます。上から眺めるアンコール・ワットの姿も格別です。

また、プノン・バケンはピラミッド型の寺院であるため、最上部からは360度景色を見渡すことができてしまいます!ジャングルに夕日がゆっくりと沈んでいく雄大な景色をぜひご自身の目で確かめてみてください。

プノン・バケン寺院

日が沈んだ後は、かなり周囲が暗くなります。遺跡を降りる際には足元に十分注意してください。不安な場合には、足元を照らすライトがあると安心です。

頂上祠堂と美しいデヴァター像

プノン・バケンは6層のピラミッド型寺院で、109の祠堂と小塔が建てられていました。地層には44基、各層には12基ずつ、そして最上層には5基の祠堂があったそうです。

  • 地層に44基の小塔
  • 第1層から第5層までに各12基の小塔
  • 第6層に5つの祠堂(主祠堂+小祠堂4基)

つまり、主祠堂の周りを108基の小祠堂や小塔が囲んでいる形になります。108というのは、ヒンドゥー教において象徴的な数字です。たとえば、アンコール・トムの南大門の乳海攪拌では、大蛇を引っ張っている神々とアシュラの数を合わせると合計108体になります。

また、興味深い事実として、主祠堂と4基の祠堂の位置に着目してみましょう。

実は、これら5基の祠堂は中心よりもやや西側に寄って建てられています。東側にスペースを生み出すために、このような設計が意図的に行われました。

プノン・バケン寺院の最頂部

これらの祠堂には美しいデヴァターの彫刻が施されています。残念ながら破損してしまっているものが多いのですが、中央祠堂の北東側壁面には比較的状態の良好なデヴァター像が残っています。

プノン・バケンのデヴァター像の中には銃撃により破損しているものもあります。下の写真の右側は、1970年代にクメール・ルージュの兵士が射撃練習を行った際の被害だと言われています。プノン・バケンは、その地理的特徴からクメール・ルージュの砲台として使われていた時期もありました。

プノン・バケン寺院のデヴァター像
(左)保存状態の良いデヴァター像
(右)銃撃により破損したデヴァター像

痕跡が残る昔の石像

プノン・バケン寺院は建てられた年代がアンコール地域の中でも古いため、破損している箇所がいくつかみられます。

下の写真はナンディン(聖牛)の一部です。プノン・バケンはシヴァ神に捧げられた寺院で、ナンディンはシヴァ神の乗り物として知られています。

プノン・バケン寺院のナンディン(聖牛)

第4層の階段ではシンハ(獅子)が通路の両脇に立ち、聖域の守護を行っています。かけてしまっている部分もありますが、いくつかは当時の原型を留めています。

プノン・バケン寺院

プノン・バケン遺跡のポイントまとめ

プノン・バケンは夕日鑑賞のスポットとしての人気もありますが、日中の観光も実はおすすめです。

夕方は暗くなってしまってなかなか細部まで観察できませんが、明るい時間帯はレリーフなどもじっくり楽しむことができます。

また、晴れた日には遠くまで見渡すことができるので、夕日とはまたちがった絶景が味わえます。夕方の時間帯は混雑することがありますが、日中は比較的空いているので、そういった意味でも穴場です。

プノン・バケン遺跡の見どころ
  • 夕日鑑賞のベストスポット
  • 頂上から360度見渡せる大パノラマ
  • 中央祠堂に残る美しいデヴァター像
CN編集部

山頂までの道がちょっと大変ですが、良い運動にもなるので、ぜひせっかくなら登ってみてください。水分補給はお忘れなく!

プノン・バケン寺院