タ・ソム遺跡は、ジャヤヴァルマン7世によって12世紀末に建立された仏教寺院です。王の父であるダーラニンドラヴァルマン2世に捧げるために建てられました。
ジャヤヴァルマン7世は、歴代の王の中でも珍しく「大乗仏教」に帰依していた王で、このタ・ソム寺院は僧侶たちの住まいとしても使われていたと考えられています。
大回りコースに組み込まれた小規模寺院であり、訪れる人はそれほど多くありませんが、ユニークな魅力あふれるデヴァター(女神)像の数々が壁面に刻まれており、ひそかに人気の高いスポットです。東塔門に絡んだ大樹の姿も見逃せません!
タ・ソムってどんな遺跡?
タ・ソムは12世紀末にジャヤヴァルマン7世が、自身の父であるダーラニンドラヴァルマン2世に捧げるために建てた寺院だと言われています。
プリア・カン寺院の碑文によると、当時は「珠玉の白象寺院」と呼ばれ、22体の神体を安置していたそうです。現在はほとんど残っていませんが、当時のアンコール朝の寺院は白い漆喰が塗られていたと考えられています。
ジャヤヴァルマン7世は、アンコール王朝を最盛期に導いた王として歴史にその名を残しました。
数々の大乗仏教寺院を建立しただけでなく、国内に道路網を整備し、102の病院を開設した点でも高く評価されています。
僧侶たちの住まいとして使われた
タ・ソム寺院は、ジャヤヴァルマン7世が手がけた寺院の中の一つであり、当時は僧侶たちの住まいとしても使われていたのではないかと推測されています。
東西塔門の上部に設置された四面仏は、バイヨン寺院と非常によく似たデザインです。また、遺跡内の破風の浮き彫りに観世音菩薩が描かれていることからも、タ・ソム寺院が大乗仏教に帰依する場であったことが伺えます。
くわしく知りたい方へ!
タ・ソム遺跡への行き方
タ・ソムは「大回りコース」と呼ばれる定番観光ルートに組み込まれる遺跡の一つです。
北バライ(貯水池)の東側に位置し、プリア・カン遺跡やニャック・ポアン遺跡とほぼ東西一直線に並んでいます。
実は厳密には3つの寺院は東西一直線に並んでおらず、微妙にずれています。一説によると、日の出の際に影の延長線が重ならないようにするための配慮だったのではないかと言われています。
観光客が少ない穴場スポット!
もう一つの定番ルートである「小回りコース」に比べると、「大回りコース」を訪れる観光客の数は少なめです。その分、混雑を避けてゆっくりと遺跡を鑑賞することができます。
特に午前中は訪れる人の数が少ないので、さらにじっくり堪能したい方はぜひ朝の時間帯に訪れてみてください!
団体の観光客が訪れることは稀なスポットなので、自分のペースで好きなように周れるのも魅力ですよ!
タ・ソム遺跡の見どころ
本来の遺跡の正面は東側ですが、観光の際は西側の入り口から進むことが多いです。
まずは、一度まっすぐ東塔門まで進み、そこから折り返して西側(入り口)に戻りながら鑑賞すると良いと思います。
タ・ソム遺跡は、最も外側の第3周壁でも東西230mの幅しかありません。とてもコンパクトな寺院であり、かつ高低差のある起伏も無いため、気軽に観光しやすいスポットと言えます。
コンパクトでありながら、魅力がたくさん詰まった遺跡なので、オススメです!
観世音菩薩を描いた破風
タ・ソム遺跡には、観世音菩薩を描いた破風が良好な状態で残っています。
上記の写真の破風は中央祠堂の北東側に置かれているので、ぜひ探してみてください。
破風(Pediment)とは、塔門や祠堂上部の三角の部分です。この部分には、ヒンドゥー教の神話や仏教モチーフなどがよく描かれています。遺跡ごとに特徴があるので、見学の際はぜひ注目してみてください!
タ・ソム遺跡は崩壊している箇所も多く、修復されたいくつかの破風は地面に置かれる形で設置されています。
通常は高い位置に設置されている破風を間近で鑑賞するチャンスです!
よく観察してみると、観世音菩薩の2本の腕が人為的に削り取られていることがわかります。
タ・ソム寺院が創建された当時は仏教信仰が盛んだったのですが、その後の時代で再びヒンドゥー教の勢力が増すようになると、かつての仏教寺院は次々にヒンドゥー教寺院へと改変されていきました。
上記の観世音菩薩像は、腕を2本削り取ることによって、ヒンドゥー教の神の姿に置き換えられました。このような仏教寺院の改変や廃仏毀釈運動の名残は他の寺院でも確認されています。
アンコール王朝の歴史の変遷が感じられる、とても興味深いレリーフですね!
表情豊かなデヴァター像
タ・ソム遺跡は小型の寺院でありながら、ひじょうにバラエティ豊富なデヴァター(女神)像がたくさん刻まれていることで有名です。
他の遺跡とは異なる、柔和で親しみのある表情やユニークなポーズが特徴的です。皆さんも自分のお気に入りのデヴァターを探してみてはいかがでしょうか?
遺跡に刻まれたデヴァター像は、当時の宮廷女性のファッションを知る手掛かりにもなっています。スカートの巻き方やアクセサリー、髪型などにぜひ注目してみてください。
自身の髪の毛を握っている女性や、鏡のようなものを見つめている女性など、その姿は実にさまざまです。
もしかしたら当時の職人たちは、実在の女性たちをモデルにしていたのかもしれませんね!
大樹が絡まった東塔門の四面仏
タ・ソム遺跡の見どころの一つが、東塔門です。全体を覆い尽くすかのように、木の根が張り巡らされています。まさに自然のパワーを感じさせる光景ですね。
似たような人気スポットである「タ・プローム遺跡」は混雑していることが多く、写真を撮る際に順番待ちをすることがありますが、タ・ソム遺跡はわりと閑散としている場所なので、じっくりと見学することが可能です。
また、木の根から覗く破風にもぜひ着目してみましょう!おそらく中央に描かれているであろう観世音菩薩の姿はほぼ見えませんが、それを取り囲むようにたくさん描かれている信者たちの姿は確認できます。
おもしろい写真が撮れる、隠れた名所です!この場所は西向きなので、午後の方が撮影しやすいかもしれません。
タ・ソム遺跡のポイントまとめ
「大回りコース」の一つである「タ・ソム遺跡」をご紹介しました!コンパクトな遺跡なので、30分ほどあれば一通り見学できると思います。
ツアーによっては飛ばしてしまうこともあるのですが、おもしろいレリーフや写真映えスポットもある場所なので、ぜひ立ち寄ってみてください。
じっくり見学したい場合には、自分でトゥクトゥク(もしくは車)をチャーターするのがおすすめです!
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コンパクトな遺跡でありながら、見どころがギュッと濃縮されています!別世界に迷い込んだかのような不思議な感覚が味わえるはずです。