*当サイトには【PR】が含まれています

カンボジアで活躍する地雷探知ネズミ|APOPO Visitor Center見学ツアー

カンボジアでは地雷や不発弾の問題が現在も根深く残っています。1970年代から1990年代にかけてカンボジアの国内外が大きく混乱し、その時期に多くの地雷が埋められました。

これらの影響により、カンボジア国内では今も地雷等による事故が発生しています。

今回ご紹介する「APOPO」は、世界中で地雷探知活動を行う国際NPO団体です。「HeroRATs」と呼ばれる訓練されたネズミを使った独自の方法が特徴的で、カンボジアでも多くの地雷探知ネズミたちが活躍しています!

CN編集部

今回は実際にシェムリアップにあるAPOPOの施設の見学ツアーに参加してきたので、その際の様子も含めてご紹介します

カンボジアが抱える地雷・不発弾問題

まず、カンボジアの地雷・不発弾の問題について基本的な情報を整理しておきましょう。これらの問題は、第二次世界大戦以降のさまざまな出来事が要因となっています。

カンボジアの近現代史は入り組んでいてひじょうに複雑なのですが、今回の記事では地雷と不発弾の問題に焦点を当ててまとめてみました。

地雷の問題について

カンボジアに地雷を敷設したのは、複数の国や勢力です。以下のような出来事が主な要因となりました。

  • クメール・ルージュ政権(1975-1979)
    ポル・ポトが率いるクメール・ルージュは、自国の防衛や敵対勢力の排除のために広範な地雷を敷設しました
  • ベトナム軍による侵攻(1978年-1979年)
    ベトナムがカンボジアに侵攻し、クメール・ルージュ政権を打倒しました。その際、ベトナム軍もカンボジアに地雷を敷設しました
  • カンボジア内戦(1980年代-1990年代初期)
    内戦時期には、政府軍や様々な反政府勢力(クメール・ルージュ残党、民族抵抗勢力など)が互いに地雷を使用しました

また、カンボジアに対する軍事援助として、アメリカやソビエト連邦、中国などの国々が地雷を供給したと言われています。地雷は他の兵器と比較して製造コストが低いため、大量に設置されました。

現在、対人地雷は「オタワ条約」により使用や製造・貯蔵・移譲等が禁止されています。2021年時点で164カ国が加盟している条約です。

地雷注意の看板

一度地中に埋められた地雷は、長期間にわたって機能を保つため、今もなおカンボジアの人々の生活を脅かす存在となっています。

直接的に人々や家畜に危害を加えるだけでなく、農業やインフラ開発にとっても地雷の存在は大きな痛手です。地雷自体は安価な兵器ですが、それらを除去するのにその何倍もの費用がかかります。

カンボジア政府は地雷除去に力を入れており、国家地雷除去センター(CMAC)などの機関や各国際団体が地雷除去作業を進めています。しかし、今も多くの地雷が埋まっているとされていて、カンボジアが抱える大きな社会問題の一つです。

回収された地雷や不発弾など

不発弾の問題について

地雷以外に不発弾の存在も深刻な問題となっています。大きな要因となったのはベトナム戦争です。

ベトナム戦争中、北ベトナム軍とベトコン(南ベトナム民族解放戦線)がカンボジアを通じて物資の輸送供給を行っていたため、それを阻害するためにアメリカ軍がカンボジアに広範囲の爆撃を実行しました

1969年から1973年にかけて、合計で40万トン近くの爆弾が投下されたと言われています。これらの攻撃により、数十万人のカンボジア人が死亡し、多くの民間人が被害を受けました。空爆はカンボジア国内の混乱を助長し、最終的にはクメール・ルージュが権力を掌握する要因の一つとなったのではないかとも考えられています。

空爆によって残された未爆発弾が現在もカンボジア国内に多く残っており、地雷と併せて大きな問題となっています。

APOPOとはどんな団体?

ここからはAPOPOについてご紹介していきます。

APOPOは、ベルギーで設立された国際NPO団体です。この団体は、訓練されたアフリカオニネズミ(Giant African Pouched Rats)を用いて地雷の探知や結核の診断を行っています

各国で活動を行うapopo

「HeroRATs」と呼ばれるAPOPOのネズミは、その優れた嗅覚を活かして世界中で大活躍しています!

カンボジアでは、ネズミを使った地雷探知が主な活動内容です。そのほか、地域住民に対して地雷の危険性を伝えたり、地雷被害者に支援を行ったりしています。

また、シェムリアップでは主に旅行者などを対象に、カンボジアの地雷や不発弾の問題を伝える広報活動を行っています。後ほど紹介する見学ツアーがまさにその一つです。

シェムリアップの施設では、現役を退いたネズミたちも暮らしています。ネズミたちは大好物のバナナやピーナッツを食べながら、毎日余生をのんびり過ごしているそうです。ネズミたちの飼育所は空調もばっちり管理されていて快適!

なぜ「ネズミ」が選ばれたの?

地雷探知を一緒に行うパートナーとして「アフリカオニネズミ」が選ばれたのには、主に下記のような理由があります。

  • 嗅覚が優れているから
  • 体重が軽く、地雷の上に乗っても安全だから
  • 訓練に適応できるほど賢いから
  • 環境への影響が少ないから
  • 他の地雷探知よりもコストが安いから

訓練されたネズミたちは、30分ほどでテニスコート一面分の広さの土地を探査することができます。人間が金属探知機を用いて調べるよりも、はるかに効率的で安全です。

訓練の主な流れ

シェムリアップのAPOPO見学ツアーに参加

ここからは、実際にAPOPOの見学ツアーに参加したときの様子をご紹介していきます!

CN編集部

見学ツアーは、すべて英語で説明されます(もしくはクメール語)。英語が苦手な方は、事前にホームページなどで多少予習をしていくと良いかもしれません

地雷問題の概要説明

ツアーの冒頭で、カンボジアの地雷問題とAPOPOの活動について、スタッフさんが説明をしてくれます。質問があればぜひ気軽に尋ねてみてくださいね!

施設内では、カンボジアで問題となっている主な地雷や不発弾のレプリカが展示されています。

対戦車地雷は、農家さんがトラクターで作業をしている際に被害に遭うケースが多いようです(人間の体重では爆発しません)。不発弾に関しては、子どもがおもちゃと勘違いして遊んでいる際に爆発してしまう事故も起きています。

CN編集部

ちなみに、映画などで「地雷を踏んでいる状態で、別の誰かが解除する」というシーンが描かれていることがありますが、これらの地雷は踏んだ瞬間に爆発するので、一度踏むと逃げることはできません。そもそも地中に埋まった地雷に気づけないので、回避することは困難です。

カンボジアを舞台にした日本映画

地雷探知ネズミによる実演

そして、見学ツアーのハイライトが地雷探知ネズミによる実演です!

実際のフィールドと同じように、砂場に埋められた対象物(火薬の臭いがするカプセル)を見つける様子を見学することができます。

今回実演をしてくれたのは、ヴァレリーちゃん

下の写真のようにネズミにハーネスを取り付けて、直線上に歩かせます。ネズミが直線を歩き終わるたびに、約50cmずつ横に移動していき、満遍なく土地の調査を行っています。

CN編集部

訓練されたネズミは、およそ1メートル四方の範囲の臭いを感知できるそうです

TNTの匂いがするボールを探している様子

ダミーのカプセルはきちんと素通りし、しっかり正解のカプセルを見つけることができていました!

対象物を発見すると、ネズミはその場で穴を掘る動作をして、人間に見つけたことを知らせます。その後、スタッフがクリッカーで音を慣らし、ネズミにご褒美のバナナやナッツを与えていました。

ご褒美のバナナを食べる様子
CN編集部

ネズミさんたちは、地雷探知の仕事があるときは、出勤前に耳と尻尾に日焼け止めを塗ってもらうそうです! パートナーとしてすごく大切にされていますね

ネズミとの触れ合い体験!

実演の後、希望者はネズミを抱っこさせてもらえます!

体重は約1.5キロほどあるので、ネズミにしてはかなりずっしりしています。とてもおとなしくて人懐っこいです。

CN編集部

抱っこされている間、ずっと人間の手をペロペロ舐めていました笑。近くで見ると愛嬌のあるかわいい顔をしています!

動画による活動説明

最後は、APOPOのカンボジアでの活動をまとめた動画を視聴しました。実際に現場でどのような活動を行なっているのか、地域住民や地雷被害者の声を交えながら紹介しています。

動画を見終わった後は、スタッフさんが質問に答えてくれるので、気になったことがあればぜひ最後に尋ねてみてください!

地雷というテーマの性質上、どうしてもショッキングな内容は含まれますが、カンボジアの社会問題について学ぶ貴重な機会になると思います。ぜひ機会があれば、遺跡観光だけでなく、こうした施設にも足を運んでみてください。

APOPOのオリジナルグッズも買える!

建物の入口には、オリジナルグッズを販売しているコーナーがあります。ツアーの前後でぜひ覗いてみてください。

Tシャツやトートバッグ、ぬいぐるみ、水筒など、色々なオリジナルグッズが並んでいます。団体の活動を応援する気持ちも込めて、記念に買っていくのも良さそうですね!

CN編集部

前回行った際は、普段でも着れそうなTシャツを買いました! かわいいネズミさんのぬいぐるみも欲しかった・・・

どうやってツアーに申し込むの?

APOPOでは基本的に毎日見学ツアーを実施しています。カンボジアが抱える地雷や不発弾などの問題をわかりやすく学ぶことができるのでおすすめです。

ホームページからの申し込みが簡単

APOPOの公式ホームページから申し込みをするのが一番簡単な方法です! もしくはメールや電話で直接申し込むこともできます(英語対応)。

料金は、通常のグループツアーだと【1人あたり10ドル】です。10歳未満の子どもは無料となります。

その日ごとに開始時間が決まっているので、ホームページ上で都合の良い日時を選択してください。ツアー中の説明は英語(またはクメール語)となります。

見学ツアー申し込み

料金 1人あたり10ドル
*Shared Tourの場合
*10歳未満の子どもはチケット不要

申し込み方法
ホームページ https://apopo.org/
電話 +855 81599237/+855 61799237
メール visitor.center@apopo.org

また、希望する場合にはプライベートツアーを申し込むこともできます。その場合の料金は、【1〜4人:1人あたり30ドル】【5〜20人:1人あたり20ドル】です。プライベートツアーは、メールか電話で直接申し込んでください。

APOPO Visitor Centerへの行き方

シェムリアップの「APOPO Visitor Center」は、街の中心部からアンコール・ワットに向かう途中にあります。オールドマーケットからだと、トゥクトゥクで10分ほどです。

ツアーの所要時間は1時間ほどなので、遺跡観光の前後に組み合わせても良さそうですね。ツアー時間は参加者の人数によって多少前後します。

建物の中に入ってすぐ右手側が受付になっています。予約をしている方は、スタッフさんに名前を伝えて、参加者用の小さいプレート(後で回収されます)を受け取ってください。ツアー開始時刻になると、担当のガイドさんがロビーまで呼びに来てくれます。

APOPO Visitor Centerの入口

APOPO見学ツアー|まとめ

カンボジアで大活躍の地雷探知ネズミ「ヒーローラット」に会える見学ツアーをご紹介しました!

近年目覚ましい発展を遂げているカンボジアではありますが、やはりまだ国内には過去の内戦や混乱の爪痕が根深く残っています。地雷や不発弾の問題もまさにその一部です。

APOPOの見学ツアーでは、カンボジアの地雷・不発弾問題についてわかりやすく学ぶことができるので、シェムリアップに来た際にはぜひ足を運んでみてください。

CN編集部

実際にネズミさんたちが活動する姿を見学できるのもポイントですね!