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チャウ・サイ・テヴォーダ [Chau Say Tevoda] 緻密な花葉紋とデヴァター像

今回は小回りコースの一つである「チャウ・サイ・テヴォーダ」をご紹介!

規模としては小さめですが、所々に施された繊細な花葉紋と優美なデヴァター像は一見の価値あり。基本的に訪れる観光客の数が少ないため、混雑することなく静かにゆったり鑑賞が楽しめるのもポイントです。

CN編集部

写真撮影をじっくり楽しみたい!という方にもぴったりなスポットです。木陰の色が濃くなる午後がおすすめ

チャウ・サイ・テヴォーダってどんな遺跡?

チャウ・サイ・テヴォーダは、12世紀中頃に創建されたヒンドゥー教寺院です。

規模は小さいながらも、十字テラスや空中参道、四方の楼門、南北の経蔵、拝殿に続く中央祠堂など、ひじょうに洗練された構造をしています。

発見当時は荒廃した状態にありましたが、2009年に修復が完了し、見学が可能となりました。

CN編集部

「チャウ・サイ・テヴォーダ」とは「多産な神の孫」という意味です

スールヤヴァルマン2世の時代

チャウ・サイ・タヴォーダの原型が建設されたのは、アンコール王朝18代目の王であるスールヤヴァルマン2世の時代だと言われています。

Suryavarman Ⅱ
アンコール・ワット第一回廊の浮き彫り

スールヤヴァルマン2世は、アンコール・ワットを建設した王です。そのため、チャウ・サイ・テヴォーダにもいくつかアンコール・ワットと類似する点があります。

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たしかにデヴァター像の服装や装身具は、アンコール・ワットのものとデザインが似ていますね。デザインの過渡期であったことがうかがえます

なお、寺院内に存在する仏教系のモチーフに関しては、後にダラニンドラヴァルマン(ジャヤヴァルマン7世の父)が指示したものではないかと言われています。

空中参道についても、後世に増築されたとする説があります。

Chau Say Tevoda
遺跡の基本情報
  • 年代:12世紀中頃
  • 建設した王:スールヤヴァルマン2世?
  • 宗教:ヒンドゥー教
  • 建築様式:アンコール・ワット様式
  • 寺院形態:平地型
  • 見学時間の目安:30〜40分

トマノンと対で配置された寺院

チャウ・サイ・テヴォーダのすぐ北側には、トマノンと呼ばれるヒンドゥー教寺院があります。

これら2つの寺院は、ほぼ同時期に建設されましたが、どうやらチャウ・サイ・テヴォーダの建設が後のようです。

トマノンはほぼ東西一直線に建造物が並ぶ構造をしていますが、チャウ・サイ・テヴォーダではさらにその形式を発展させたものになりました。

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両者を比較しながら観光すると、より一層楽しめますね!

チャウ・サイ・テヴォーダへの行き方

チャウ・サイ・テヴォーダやトマノンは、アンコール・トムの東側にある「勝利の門」を抜けて500mほど進んだ位置にあります。

Chau Say Tevoda

チャウ・サイ・テヴォーダやトマノンは小規模寺院なので、せっかくなら他の遺跡と組み合わせて観光するのがおすすめです。

両寺院は「小回りコース」と呼ばれる定番ルートに組み込まれています。下記のマップのオレンジ色のアイコンが小回りコースに含まれる遺跡です。

ただし、多くの現地ツアーでは主要な遺跡を中心に訪問するため、チャウ・サイ・テヴォーダやトマノンなどの小規模寺院はスキップされてしまうことが多いです。

そのため、見学を希望する場合には、ご自身でトゥクトゥクなどをチャーターするのがオススメです。

小回りコース
小回りコースの主な遺跡

近くにある超穴場スポット!

チャウ・サイ・テヴォーダの見どころ&特徴

ここからはチャウ・サイ・テヴォーダの見どころをご紹介!

コンパクトな遺跡でありながら、見どころがたくさん詰まっているので、ぜひじっくり観光を楽しんでくださいね。訪問客が他の遺跡と比べて少なめなのも嬉しいポイントです。

Chau Say Tevoda
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中央祠堂へと続く空中参道

チャウ・サイ・テヴォーダの特徴の一つが「空中参道」の存在です。

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十字テラスと空中参道

アンコール・トムのバプーオンと同じように、円柱が参道を支える構造をしています。他の遺跡にはなかなか見られないユニークな構造です。

Chau Say Tevoda
石柱に支えられた参道

この空中参道の部分は、スールヤヴァルマン2世の時代ではなく、後世に増築されたものと考えられています。

十字テラスの部分には、崩壊した石がいくつも積まれていました。中には、ひじょうに保存状態の良いナーガ像も残っています。7つの頭が綺麗に残っている姿は貴重です。

Chau Say Tevoda
保存状態の良いナーガ

十字テラスよりもさらに東側には、等間隔に並ぶ標石が100mほど続いています。どうやらシェムリアップ川にまっすぐ続いているようです。

似たようなものはプリア・カンでも目にすることができます。

Chau Say Tevoda
東側に続く標石

中央祠堂のデヴァター像

チャウ・サイ・テヴォーダはアンコール・ワット様式に分類される寺院であるため、デヴァター像のデザインがとてもよく似通っています。

Chau Say Tevoda
中央祠堂のデヴァター像

基本的に損傷の激しいデヴァター像が多いのですが、中央祠堂の西側部分には比較的状態が良好なデヴァター像が残されています

Chau Say Tevoda
中央祠堂の壁面

チャウ・サイ・テヴォーダのデヴァター像はアンコール・ワット様式だけでなく、バケン様式も混在しており、変遷期であったことがうかがえます。

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サンポット(スカート)のデザインがそれぞれ異なるので、ぜひ観察してみてくださいね!

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中央祠堂の壁面

中央祠堂の内部には、小さな仏像とヨニが安置されていました。柱やリンテルなどの装飾は損傷が激しく、あまり原型を留めていません。

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中央祠堂に安置されたヨニと仏像

中央祠堂の東側以外には、偽扉が設置されています。西側の偽扉は細部まで装飾が残っていて、美しかったです。

Chau Say Tevoda
中央祠堂の偽扉

南側の経蔵

チャウ・サイ・テヴォーダには、2つの経蔵が存在します。

特に南側の経蔵には、破風やリンテルの浮き彫りがしっかりと残っているので、ぜひ見落とさずにチェックしてくださいね。

下記のリンテルの中央には、ヴァーハナ(乗り物)に乗っている神が確認できます。判別が難しいですが、ガチョウのように見えます。ガチョウだとすれば、上に乗っているのはブラフマーです

Chau Say Tevoda
南側の経蔵の中

南側の経蔵の内部は、珍しい構造をしています。砂岩ではなく、ラテライトが壁に使われていました。

中央の台座には、補強のためか鉄製のパーツが使われています。これは当時の職人たちが施したもののようです。

Chau Say Tevoda
南側の経蔵の中

南側の経蔵の東側もぜひ忘れずにチェックしてください!

ペディメント(破風)部分には、アプサラと一緒に踊るシヴァ神の姿が描かれています。

その下のリンテル(まぐさ石)に描かれているのはヴィシュヌ神です。三歩で世界をまたいだ、という伝説に基づいた意匠になっています。これと同じ構図はプラサット・クラヴァンにも存在します。

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南側の経蔵の東側

東楼門 [Eastern Gate]

空中参道から続く東楼門にも見どころがたくさんあります。ぜひここでもペディメント(破風)部分に着目してみてください

Chau Say Tevoda
東側の楼門

絶対に見逃せないのが、インドの古代叙事詩『ラーマーヤナ』の一場面を描いた破風。

王位を追われた弟猿・スグリーヴァが、簒奪者である兄猿・ヴァーリンを討ち取ったシーンを描いています。アプサラが支える玉座にいるのがスグリーヴァ、妻の膝上で看取られているのがヴァーリンです。

Chau Say Tevoda
東楼門の南側

同じ場面は、アンコール・ワットの第一回廊バンテアイ・スレイにも登場します。

また、東楼門にはチャウ・サイ・テヴォーダの特徴の一つである美しい花葉紋も彫られています。繊細で華やかな装飾にもぜひ目を向けてみてください。

チャウ・サイ・テヴォーダ遺跡|まとめ

今回は「チャウ・サイ・テヴォーダ」の歴史や見どころについて解説してきました!

規模としては小さな遺跡ですが、見どころがギュッと詰まっているので訪問の価値は十分にあります。ぜひほかの小回りコースの遺跡とセットで観光してみてください。

チャウ・サイ・テヴォーダと対になるように配置されているトマノンと比較しながら鑑賞するのもオススメです!

チャウ・サイ・テヴォーダの見どころ
  • 美しく華やかなデヴァター像と花葉紋
  • 中央祠堂へと続く空中参道
  • スグリーヴァとヴァーリンを描いた破風はふ
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