
カンボジアの現地通貨「リエル」の紙幣には、アンコール遺跡をはじめ、王宮や歴史的建造物、橋など、カンボジアを象徴するさまざまな場所や人物が描かれています。
何気なく手にする紙幣にも、それぞれに歴史や文化が込められており、絵柄の意味を知ることで旅行がより一層楽しくなるでしょう。
この記事では、100リエルから100,000リエルまでの紙幣に描かれた絵柄を一覧で紹介するとともに、それぞれの建物や遺跡、人物について詳しく解説します。カンボジア旅行を予定している方はもちろん、現地の文化や歴史に興味がある方も、ぜひリエル紙幣に隠された魅力を探してみてください!
カンボジアの通貨(リエル)とは?
カンボジアの現地通貨は「リエル(KHR)」で、通貨記号は「៛」と表されます。
ただし、カンボジアではリエルと米ドル(USD)が広く併用されており、旅行者であれば基本的に米ドルを準備しておけば、ホテルやレストラン、観光施設などでの支払いに困ることはほとんどありません。米ドルで支払い、お釣りの一部をリエルで受け取ることもあります。
リエル紙幣のデザインには、カンボジアを代表する遺跡や王宮、歴史的な橋、王族の肖像などが採用されており、この国の歴史や文化が色濃く反映されています。なかでも、後ほど紹介する500リエル札には、日本とカンボジアの友好関係を象徴する橋や日本車が描かれている点にも注目です!
旅行者のなかには「余ったリエルをどうしよう」「できるだけリエルを持ちたくない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、絵柄の背景を知ってから見直すと、単なる現地通貨とは少し違って見えてきます。

500リエル札などの少額の紙幣であれば、カンボジア旅行の記念として手元に残しておくのも良いかもしれません!

カンボジアの紙幣に描かれた絵柄一覧
カンボジアのリエル紙幣には、アンコール遺跡群をはじめ、王宮や歴史的な橋、記念碑など、国内各地を象徴するさまざまなモチーフが描かれています。
なかでも特徴的なのが、すべての紙幣の表面に「ナーガ」と呼ばれる蛇神があしらわれている点です。ナーガの意匠は紙幣ごとに異なり、それぞれ別の遺跡や建造物をもとにしています。

また、歴代国王の肖像や王宮など、王室に関連するモチーフが多いこともリエル紙幣の特徴です。
現在流通している紙幣には、今回紹介するもの以外にも発行年の古い旧デザインが含まれる場合があります。それぞれの紙幣の詳しいデザインは、カンボジア国立銀行の公式Webサイトでも確認できます。
リエル紙幣に描かれた観光スポット
カンボジアのリエル紙幣には、実際に訪れることのできる遺跡や寺院、王宮、橋などが数多く描かれています。ここからは、紙幣の額面ごとに、デザインのモチーフとなった観光スポットとその見どころを紹介します。
シルバーパゴダ(100リエル)
100リエル札の裏面に描かれているのは、首都プノンペンの王宮敷地内にある寺院「シルバーパゴダ」です。床に銀製のタイルが敷き詰められていることからこの名で呼ばれており、カンボジア王室と深い関わりを持つ格式高い寺院として知られています。
紙幣には建物だけでなく、内部に安置されている「エメラルド仏」も描かれています。実際の像はエメラルドそのものではなく、水晶で造られたものとされ、寺院の別名である「エメラルド仏寺院」の由来にもなりました。シルバーパゴダは王宮とあわせて見学できるため、プノンペン観光の代表的な立ち寄り先の一つです。

ネアックルン橋・キズナ橋(500リエル)
500リエル札は、日本とカンボジアのつながりを感じられるデザインが特徴です。裏面には、日本の支援によって建設されたネアックルン橋(ツバサ橋)とキズナ橋が描かれています。
キズナ橋(ស្ពានគីសូណា)は、日本の無償資金協力により建設され、2001年にカンボジア初のメコン川を渡る橋として開通しました。全長は約1,500メートルに及び、「キズナ」という名称には両国の友好への思いが込められています。
紙幣をよく見ると、橋のそばに描かれた記念碑には日本の国旗が小さく描かれています。また、橋を走る車も日本車を思わせるデザインです(メーカーや具体的な車種については公式に明らかにされていません)。

プノンペン王宮(1,000リエル)
1,000リエル札の裏面には、首都プノンペンを代表する観光スポット「プノンペン王宮」が大きく描かれています。王宮はカンボジア王室の公式な住まいとして現在も使用されており、黄金色に輝く屋根や伝統的なクメール建築が印象的です。
紙幣には、カンボジアの神話に登場する半人半鳥の精霊「キンナリ」の美しい彫像もあしらわれています。

一方、表面のナーガは、シェムリアップ近郊にある人気遺跡「ベンメリア」のものです。
比較的保存状態が良く、細かな装飾まで確認できることで知られています。どこか愛嬌を感じさせる表情にもぜひ注目してみてください。

サンボー・プレイ・クック遺跡群(2,000リエル)
2,000リエル札の裏面には、カンボジアで3番目に世界遺産へ登録された「サンボー・プレイ・クック遺跡群」が描かれています。
アンコール王朝成立以前のプレ・アンコール期を代表する貴重な史跡で、八角形の祠堂や、建物が宙に浮いているように見える「空中宮殿」と呼ばれる独創的なレリーフが見どころです。

紙幣には、獅子の彫像で知られる「プラサット・タオ」の遺構もあしらわれています。


一方、表面に描かれたナーガのモチーフは、アンコール・ワットの入口にある欄干のナーガです。サイズも大きく迫力のあるナーガなので、訪問した際はぜひチェクしてみてください。
2,000リエル札では、このように異なる時代を象徴する遺跡が、紙幣の表裏で組み合わされています。

コンポンクデイ橋(5,000リエル)
5,000リエル札の裏面には、「スピアン・プラップ・トゥフ」と呼ばれる古代橋が描かれています。一般には「コンポンクデイ橋」の名で知られ、ラテライトを積み上げて造られた全長約90メートル、幅約16メートル、高さ約10メートルの大橋です。
ジャヤヴァルマン7世の治世に国内の道路網が整備された際に建設されたと考えられており、当時の土木技術の高さがうかがえます。欄干の両端には9つの頭を持つナーガの彫刻が施されています。

橋の横には、バイヨン寺院第一回廊のレリーフも描かれています。コンポンクデイ橋とバイヨン寺院はいずれもジャヤヴァルマン7世の時代を代表する建造物であり、当時の土木技術と芸術文化を伝える組み合わせです。

ニャック・ポアン遺跡(10,000リエル)
10,000リエル札の裏面には、シェムリアップの「大回りコース」に含まれるニャック・ポアン遺跡が描かれています。ジャヤヴァルマン7世の時代に造られた、水上に浮かぶような独特の構造を持つ寺院です。
施療院としての役割も担っていたと考えられており、中央祠堂を囲む聖池の水は、病を癒やす聖水として扱われていました。紙幣には、伝説が残る神馬ヴァラーハの彫像も描かれています。


神馬ヴァラーハの伝説は、「ニャック・ポアン遺跡」の紹介記事に掲載しています。よろしければそちらもご覧ください!

表面のナーガは、端正な造形が美しい小型寺院「チャウ・サイ・テヴォーダ」のものです。洗練された静謐な雰囲気から、ウェディングフォトの撮影場所としても密かに人気があります。

バンテアイ・スレイ遺跡(20,000リエル)
20,000リエル札には、「クメール芸術の至宝」とも称される美しい寺院、バンテアイ・スレイが描かれています。
赤みを帯びた砂岩で造られた祠堂には、空白を埋め尽くすように精緻な装飾が施され、破風には神話の場面が生き生きと表現されています。「東洋のモナリザ」の異名を持つデヴァター像も、この遺跡を代表する見どころです。

表面のナーガもバンテアイ・スレイの意匠で、破風の端にある彫刻が用いられています。水や海を司る伝説の幻獣「マカラ」の口から、ナーガが吐き出されるように現れる独特の構図が特徴です。

バコン遺跡,コー・ケー遺跡群(50,000リエル)
50,000リエル札の裏面に大きく描かれているのは、ロリュオス遺跡群を代表する「バコン遺跡」です。
アンコール王朝で初めて築かれた本格的なピラミッド型寺院とされ、段状に積み重なる基壇と中央祠堂が生み出す、左右対称の美しいシルエットが特徴です。

その隣には、カンボジアで4番目に世界遺産へ登録されたコー・ケー遺跡群の「プラサット・ドムライ」に残る象の彫像も描かれています。「ドムライ」はクメール語で象を意味し、遺跡の名もこの彫像に由来します。
コー・ケー遺跡群にも、バコン遺跡と同様に、カンボジアを代表するピラミッド型寺院「プラサット・トム」があり、独特の景観で知られています。

プリア・カン遺跡(100,000リエル)
100,000リエル札は高額紙幣のため、カンボジアで生活していても目にする機会はあまり多くありません。
裏面には王室の肖像とともに、プリア・カン遺跡の周壁に刻まれたガルーダ像が描かれています。ヒンドゥー神話に登場する神鳥ガルーダが、宿敵とされるナーガを踏みつける力強い場面です。

表面のナーガは、5,000リエル札にも登場したコンポンクデイ橋の意匠です。9つの頭を大きく広げた壮麗な姿は迫力があり、高額紙幣らしい重厚感のあるデザインに仕上がっています!

まとめ|リエル紙幣を見るとカンボジア旅行がもっと楽しくなる
カンボジアの現地通貨「リエル」の紙幣には、アンコール遺跡群をはじめ、王宮や歴史的な橋、神話に登場するナーガやガルーダなど、この国の歴史と文化を象徴する多彩な絵柄が描かれています。
なかには、日本の支援で建設されたキズナ橋や日本国旗が登場する500リエル札など、日本とのつながりを感じられるデザインもあります。
普段は支払いのために何気なく手にする紙幣ですが、描かれた場所やモチーフの背景を知ると、カンボジア旅行の新たな楽しみ方が見えてきます。遺跡や観光スポットを訪れた際には、ぜひ手元のリエル紙幣と実際の風景を見比べてみてください。

余った紙幣を旅の記念として持ち帰るのも、カンボジアの思い出を残す方法の一つですね!




































ぜひ実際にカンボジアのリエル紙幣を手にした際に、写真と絵柄を見比べてみてくださいね!