カンボジアといえばアンコール・ワットが有名ですが、実はその周辺にも数多くの魅力的な遺跡が点在しています。
そのため、初心者にとっては「どこから見ればいいの?」と迷うことも少なくありません。
そこで今回の記事では、初めての方でも楽しめるように、カンボジアの遺跡をカテゴリー別に厳選してご紹介! 神秘的な歴史を感じられる必見スポットから、アクセスしやすい場所まで、見逃せないポイントを徹底解説します。
カンボジアの遺跡観光
カンボジアには大小合わせて約3,000以上の遺跡があるとされています。その多くは9世紀から15世紀の間に栄えたクメール王朝時代に建造されたもので、カンボジア全土に点在しています。
実はカンボジアには、有名なアンコール・ワット以外にもたくさんの遺跡が存在しているんですよ!
カンボジアの代名詞的存在でもある「アンコール遺跡群」は、シェムリアップを中心に広がり、数百以上の寺院や建造物で構成されています。その中にはアンコール・ワット、アンコール・トム、タ・プロームなどの観光名所も含まれています。この遺跡群は1992年にユネスコの世界遺産に登録されました。
「アンコール遺跡群」の他に、「プレア・ヴィヒア遺跡」「サンボー・プレイ・クック遺跡群」「コー・ケー遺跡群」も世界遺産として登録されています。
でも、これだけたくさん遺跡があると、どこを観光すれば良いのか迷ってしまいますよね……。そこで、今回はカンボジア旅行初心者の方向けに、おすすめの遺跡をカテゴリー別にご紹介していきます!
絶対に行きたい定番の遺跡ベスト3
まずはカンボジア・シェムリアップに来たら絶対に外せない定番遺跡をご紹介!
下記の3つは、カンボジアを代表する有名な世界遺産となっています。それぞれ独特の魅力のある遺跡なので、必ずシェムリアップ観光のスケジュールに組み込んでみてください!
アンコール・ワット[Angkor Wat]
まずは超定番とも言えるアンコール・ワット! カンボジアの国旗にも描かれ、世界中から多くの人々が訪れる人気観光地となっています。
特に人気なのが朝日鑑賞! 黄金色に染まる空に浮かび上がる尖塔のシルエットがとても幻想的で、多くの人々を魅了します。一生に一度は目にしたい光景です。
Klook.comアンコール・ワットは12世紀にクメール王朝のスーリヤヴァルマン2世によって建立されました。ヒンドゥー教の宇宙観を表現した建築で、特に創世神話である「乳海攪拌」を描いた精緻なレリーフが有名です。
アンコール・ワットの魅力は、壮大なスケールの大伽藍と壁面に施された精緻なレリーフの数々。ぜひ時間をかけてじっくり堪能してくださいね!
アンコール・トム[Angkor Thom]
アンコール・ワットと並んで有名なのがアンコール・トムです!
「アンコール」は「王都」、「トム」は「大きい」を意味します。アンコール・トムは城壁に囲まれた都城であり、その中にいくつもの遺跡や建造物が含まれています。
アンコール・トムの中心にあり、そして最も有名なのがバイヨン寺院です。巨大な四面尊顔が特徴的で、まるで迷路のように入り組んだ複雑な回廊がミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
そのほかアンコール・トムでおすすめなのは、象のテラスとライ王のテラスです。
約350mにわたって壁面に刻まれたレリーフは圧巻で、躍動感と華やかさを兼ね備えた芸術作品にもなっています。
実は「ライ王のテラス」は日本と縁のある場所でもあります。
日本を代表する文人・三島由紀夫が最後に手がけた戯曲『癩王のテラス』は、三島氏が1965年に実際にアンコール・トムを訪れた際に着想を得て書かれたと言われています。
タ・プローム[Ta Prohm]
タ・プローム遺跡は、自然と遺跡が一体化した幻想的な雰囲気が特徴です!
ここは巨大なガジュマルの木々が寺院に絡みつき、長い年月を経たミステリアスな姿がそのまま残されています。
「ジャングル寺院」とも呼ばれ、まるで冒険映画の世界に迷い込んだような体験ができます。実際にかつてハリウッド映画「トゥームレイダー」のロケ地として使われ、一躍人気スポットになりました。
観光客が少ない早朝に訪れると、静寂の中で一層神秘的な風景を楽しむことができます。日常を忘れて圧倒的な自然美に浸れるおすすめのスポットです。
下記のスポットは、タ・プローム寺院の中でも特に人気の撮影スポットです!お客さんが順番待ちをしていることも少なくありません
おすすめの郊外遺跡ベスト3
シェムリアップの街の郊外にも、見応えのある遺跡が点在しています。
下記の3ヶ所は片道60〜90分ほどで行くことのできる、比較的訪問しやすい遺跡です。観光スケジュールに余裕のある方は、ぜひ下記の遺跡まで足を伸ばしてみてください!
ベンメリア[Beng Mealea]
ベンメリア遺跡は、シェムリアップから約70キロ離れた場所に位置する神秘的な遺跡で、「東のアンコール・ワット」とも称されます。
この遺跡は12世紀に建造されたとされ、アンコール・ワットと似た構造を持ちますが、ほぼ手つかずの状態で保存されています。巨大な石造りの建物が崩れ落ち、密林の中に埋もれるように静かに佇む姿は圧巻で、まるでジャングルに発見された「失われた都市」に迷い込んだかのような体験ができます!
遺跡を覆う苔や木々が生み出す自然と歴史のコントラストは、探検心をくすぐる絶好のシチュエーション!
観光客も比較的少なく、ゆったりと散策しながら、その荘厳さをじっくり堪能できます。非日常の冒険を求める方にとって、ベンメリアは一度訪れる価値がある秘境です。
Klook.comバンテアイ・スレイ[Banteay Srei]
バンテアイ・スレイ遺跡は、カンボジアのアンコール遺跡群の中でも特に精緻な彫刻で知られる「東洋の宝石」と称される寺院です。
シェムリアップ中心地から約35キロ離れた場所に位置し、10世紀に建造されたこの遺跡は、赤色砂岩でできており、鮮やかな色合いと繊細な彫刻が特徴です。
ヒンドゥー教の神々や神話を題材にした細やかな彫刻は、まるで宝石のように輝き、熟練の職人たちの技巧が今も息づいています。規模としては小さめな寺院ですが、その完成度の高さから一歩一歩、近くで観察したくなるほど!
「東洋のモナリザ」の異名を持つデヴァター像もバンテアイ・スレイの見どころの一つです。数百年の時を経ても色褪せることなく、柔和で穏やかな微笑を浮かべ、見る人々を魅了し続けています。
クバール・スピアン[Kbal Spean]
クバール・スピアン遺跡は、密林に隠れた「水中の遺跡」として知られています。
最大の特徴は川底に彫られた無数のリンガ(シヴァ神の象徴)や美しい彫刻。長年にわたる水の流れによって浸食され、幻想的な雰囲気が漂います。
ここを訪れるには30~40分ほどの軽いトレッキングが必要ですが、ジャングルを歩く中で味わえる冒険感もこの遺跡の魅力の一つ。
到着すると、川底に現れる繊細な彫刻群や神々のレリーフに思わず心を奪われることでしょう。自然の中に溶け込んだこの神秘的な空間は、他の遺跡とは一味違ったカンボジアの歴史を体験できるスポットです!
遺跡好きにはこちらもオススメ!
「カンボジアの遺跡がもっと知りたい!」という方におすすめな遺跡もご紹介します。
観光スケジュールに余裕のある方やアンコールパスの3日券・7日券を購入した方は、ぜひこれらの遺跡にも足を運んでみてください!
プリア・カン[Preah Khan]
プリア・カン遺跡は、アンコール遺跡群の中でも神秘的で静かな雰囲気が漂う、隠れた名所です。この遺跡は、12世紀にアンコール王朝のジャヤヴァルマン7世によって建てられ、王の父を祀る寺院として栄えました。
特に見逃せないのが、複雑に入り組んだ回廊や、壁に刻まれた精巧な彫刻の数々!
プリア・カンは観光客が少ないため、ゆっくりと探索でき、自分だけの時間を過ごせるのも魅力です。広大な敷地内には、巨大な木の根が石造りの遺跡に絡みつく独特の光景が広がっています。
ニャック・ポアン[Neak Pean]
ニャック・ポアン遺跡は、アンコール遺跡群の中でも特に異彩を放つ、神秘的な水上の寺院です。
12世紀にジャヤヴァルマン7世が建設したこの遺跡は、中央に大きな池を持ち、その中央に位置する小さな塔が神聖な島のように浮かんでいます。四方には小さな池が配置され、当時「病を癒すための寺院」としても使われたとされています。
遺跡に向かう途中には木製の遊歩道が設けられており、池の周りを散策しながら、自然と遺跡が溶け合う美しい景観を楽しむことができます。
静かな水面に映る遺跡はまるで鏡のようで、晴れた日には幻想的な光景が見られますよ!
バンテアイ・クデイ[Banteay Kdei]
バンテアイ・クデイ遺跡は、静寂と美しさが調和するアンコール遺跡群の中でも、特に注目すべき場所です。12世紀にジャヤヴァルマン7世が建立したこの寺院は、かつて僧侶たちの修行の場でもありました。
また、2001年に日本の発掘チームによって、土中から大量の仏像などが発見されたことにより、世界的な注目を集めた遺跡でもあります。アンコール王朝の歴史の謎に迫る、まさに世紀の大発見でした!
プレ・ループ[Pre Rup]
プレ・ループ遺跡は、アンコール遺跡群の中でも独特な風格を持つ、煉瓦とラテライトで作られた寺院です。
10世紀に建立されたこの寺院は、ヒンドゥー教の神・シヴァに捧げられたもので、かつては火葬場として使われていたとも言われています。
遺跡の階段を上ると周囲の景色が一望でき、アンコールの大地を見渡せる開放感も魅力の一つ! 特に夕暮れ時、赤い石が夕陽に染まって輝く姿は絶景で、プレ・ループはアンコール遺跡群でも特に美しい夕日スポットとして有名です。
プノン・バケン[Phnom Bakheng]
プノン・バケン遺跡は、アンコール遺跡群の中でも特に夕日鑑賞の名所として知られる寺院で、アンコール・ワットやその周辺の大地を一望できる小高い丘の上に建てられています。
9世紀末に建立されたこの山岳寺院は、ヒンドゥー教の宇宙観を象徴するような構造が特徴です。
遺跡の最上部まで上ると、広大な森とアンコール・ワットを遠くに望む壮大な景色が広がり、夕日がゆっくりと沈んでいく神秘的な光景が楽しめます。乾季は特に夕日が美しいので、タイミングが合えばおすすめです!
バコン[Bakong]
バコン遺跡は、アンコール王朝の初期を象徴する壮大な山岳寺院で、ロリュオス遺跡群の一つです。シェムリアップの街からトゥクトゥクで片道30〜40分程の位置にあります。
9世紀末、アンコール王朝の礎を築いたインドラヴァルマン1世によって建てられたこの寺院は、ヒンドゥー教の宇宙観を表すピラミッド型の構造が特徴です。中央の塔を中心に、五層のテラスが天に向かってそびえる姿は、威厳と神聖さを感じさせます。
周囲にはのどかな村の風景が広がり、アンコール遺跡群の中でも静かな雰囲気が楽しめる穴場スポットです!
Klook.comカンボジアの秘境遺跡
続いて、シェムリアップの街から離れた場所にある「秘境遺跡」をご紹介!
観光は丸一日がかりとなりますが、シェムリアップの街から日帰りで訪問することができます。いずれも見応えのある貴重な遺跡ばかりなので、スケジュールに余裕のある方はぜひ足を運んでみてください。
ここでご紹介する遺跡は、いずれも街から離れた場所にあるので、信頼できるドライバーさんやガイドさんと一緒に訪れることをオススメします
プレア・ヴィヒア[Preah Vihear]
プレア・ヴィヒア遺跡は、カンボジアとタイの国境近くの山頂に位置する壮大な寺院で、2008年に世界遺産にも登録されています。
9世紀から11世紀にかけてヒンドゥー教寺院として建てられたこの遺跡は、標高625メートルの断崖にそびえ、まさにその姿は「天空の城」! アンコールの大地を見下ろす絶景スポットになっています。
シェムリアップからは約250km離れており、観光は丸一日がかりとなりますが、その価値は十分ある遺跡です!
コー・ケー[Koh Ker]
コー・ケー遺跡群は、アンコール王朝の一時的な都として10世紀に栄えた場所で、シェムリアップから北東約100キロのジャングルの中に広がっています。
その中心となる「プラサット・トム」は、ピラミッド型の独特な形状で、7段の階層を持つ高さ36メートルの壮大な建造物です。頂上からはジャングルの広大な風景が見渡せ、まるで昔にタイムスリップしたかのような感覚に包まれます!
また、コー・ケー遺跡群は未だ手つかずの状態が多く残され、秘境感あふれる特別な雰囲気を楽しめるのも魅力のひとつ。彫刻や神像の美しさも見応えがあり、アンコール・ワットとは異なる、静寂と神秘が漂う空間です。
バンテアイ・チュマール[Banteay Chhmar]
バンテアイ・チュマール遺跡は、カンボジア西部のタイ国境近くに位置する大規模な寺院で、アンコール遺跡群に負けない壮大さと神秘が漂う隠れた名所です。
12世紀末、ジャヤヴァルマン7世によって建立されたこの遺跡は、かつての軍事拠点でもあり、広大な敷地には今も精巧な彫刻や迫力ある石造りの壁が残されています。
特に注目すべきは、カンボジアの遺跡でもひじょうに珍しい「千手観音像」や、戦いを描いた浮彫りのレリーフで、その精密さと美しさに圧倒されます。
実は2024年現在、バンテアイ・チュマールはまだ世界遺産に登録されていません(申請手続き中だそうです)。まだ大規模な修復工事は行われておらず、世界遺産に登録される前に足を運んでみてはいかがでしょうか?
サンボー・プレイ・クック[Sambor Prei Kuk]
サンボー・プレイ・クック遺跡は、カンボジアで3番目に世界遺産に登録された貴重な史跡で、アンコール遺跡群に先立つ「前アンコール王朝」時代の栄華を伝える場所です。
7世紀に真臘王国の都として栄えたこの遺跡は、レンガ造りの独特な形状が特徴で、細やかな彫刻や浮彫りが施された美しい建築が点在しています。
遺跡群には108もの寺院があり、その中心部にある「プラサット・イェイポアン」をはじめとした塔群が、当時の建築技術と宗教の信仰心を今に伝えています。森の中にひっそりと佇む姿が神秘的で、まさに秘境とも呼べる雰囲気です。
カンボジア遺跡観光を楽しむコツ!
カンボジアの遺跡観光を楽しむためのポイントを簡単にご紹介! ぜひ安全や健康に気をつけながら、遺跡観光を楽しんでくださいね
アンコールパスは3日券がおすすめ
シェムリアップ周辺の遺跡を見学するには「アンコールパス」と呼ばれるチケットが必要です。
ほとんどの遺跡がアンコールパスの対象となっており、購入した対象期間内であれば何度でも入場することができます。「1日・3日・7日券」の三種類があるので、ご自身の旅行スケジュールに合わせて選びましょう。
チケット日数 | 価格(USドル) | 有効期間 |
---|---|---|
1日券 | $37 | 購入日のみ有効 |
3日券 | $62 | 購入日から10日間有効 |
7日券 | $72 | 購入日から1ヶ月間有効 |
今回の記事でご紹介した通り、シェムリアップ周辺にはたくさんの見どころがあり、1日ですべて訪れるのは難しいです。ある程度、遺跡観光を楽しむのであれば少なくとも3日はあると良いかと思います。
「1日しか遺跡観光できる日がない!」という方は、この記事でご紹介した3つの定番遺跡を中心にぜひ巡ってみてください
くわしい購入方法はコチラ
「カンボジアの秘境遺跡」の項目でご紹介した遠方の遺跡は、アンコールパスの対象外です。入場の際に独自のチケットを別途購入する必要があります。
ある程度予習しておく
遺跡観光の前にオススメしたいのが、簡単な予習です! やはりある程度の予備知識があるのと無いのとでは、解像度が大きく異なります。
おおまかなカンボジアの歴史の流れやヒンドゥー教の基礎知識などを把握しておくと、より楽しめるかと思います。ぜひ市販のガイドブックや書籍などを参考にしてみてください。
Cambodia Noteの記事でも、遺跡や歴史について詳しく解説しているので、ぜひ観光前の予習にお役立てください!
自力で予習するのは大変そう……という方は、ガイドさん付きの観光がオススメです! 日本語が堪能な現地ガイドさんもたくさんいらっしゃるので、ぜひ日本語ツアーの参加も検討してみてください!
スケジュールを詰め込みすぎない!
遺跡観光をする上で大切なのは、スケジュールを詰め込みすぎないこと!
「せっかくカンボジアに来たのなら、できるだけ多くの遺跡に行きたい!」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、遺跡観光は予想以上に体力を消耗するので、スケジュールに余裕を持たせておくことも必要です。熱中症などに十分注意して、無理をせず観光を楽しんでください。
スケジュールを詰め込みすぎると、途中から遺跡ごとの違いがよく分からなくなり、「消化試合」のような状態になってしまうことも珍しくありません!
せっかく遺跡に行ったのに「どれがどれか分からない……」という状態になるくらいでしたら、一つひとつの遺跡をじっくり堪能するのが良いかなと思います。
個人のお好みのスタイルもあると思いますが、ぜひ遺跡観光は余裕を持って楽しめるようにスケジュールを組んでみてください!
まとめ|カンボジア旅行で絶対に行くべき遺跡
今回の記事では、初めてカンボジアを訪れる方向けにオススメの遺跡スポットをご紹介しました! どれも一見の価値がある興味深い遺跡ばかりです。
各遺跡に関する詳しい解説は、個別の記事でご紹介しているので、ぜひそちらもチェックしてみてください! 遺跡観光前の予習などにも役立てていただければと思います。
また、カンボジアには今回ご紹介しきれなかった魅力的な遺跡もたくさんあります。カンボジア旅行は意外とリピーターの方も多いので、遺跡に興味のある方はぜひ色々な場所を巡ってみてくださいね。
はじめてシェムリアップに行く方、遺跡観光のスケジュールを検討中の方におすすめの内容です! ぜひ参考になさってください